2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15033213
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平塚 浩士 群馬大学, 工学部, 教授 (00016156)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 宏明 群馬大学, 工学部, 助手 (00334136)
|
Keywords | リゾチーム / 結晶成長 / 光誘起 / 酵素活性 / 分子間力 / 結晶化促進 / 核形成 / 紫外光 |
Research Abstract |
光によるタンパク質の結晶化促進に関する研究を行った。タンパク質の機能を理解するためには、アミノ酸の配列を知るだけではなくその三次元構造を明らかにする必要がある。そのためにはX線結晶構造解析を行うことが必要であり、タンパク質の結晶化を行うことが必須の工程である。X線結晶構造解析はSpring 8の稼働により飛躍的に進歩した。しかしながら、タンパク質の結晶化は結晶化剤の種類・量、pH、温度、タンパク質濃度等きわめて多くのパラメーターを適切に設定する必要があり、困難を極める。その方法には定法がなく、結晶化のために新しい手法を提案することは重要な課題となっている。最初にタンパク質の結晶化が光で促進されることを明確に示す実験手法を確立すること、およびその機構を明らかにした。タンパク質は最も基本的で性質がよく知られているリゾチームを選び光によるリゾチームの活性低下について調べた。リゾチームは光により変性することが知られている。結晶化を起こさせるには「弱い紫外光」を数秒〜数十秒当てることが必要である。この弱い光照射がリゾチームの酵素活性をどのように変化させるのか調べた。30秒までの光照射では酵素活性が変化せず、それ以上の照射で変性が始まることが判明した。結晶化が促進されるのは30秒までの光照射であり、光を当てすぎて変性してしまうと結晶化は起こらないことが明らかとなった。次に光で結晶化が起こる頻度を統計的に示す実験を行った。タンパク質の結晶が出現する確率が光の有無、照射時間によってどのように変化するのか定量的に評価した。その結果、光照射により100倍結晶化が促進されることが明らかとなった。光照射により得られた結晶は従来の方法で得られた結晶と同じ結晶構造を示した。最後に光でタンパク質分子の結晶化が促進される機構について検討した。光を当てるとタンパク質分子間に働く力が強くなり、互いに引き寄せるため凝集が始まると考えられる。レーザー光を用いた動的光散乱測定装置により、コロイド粒子の拡散係数を測定し、分子間相互作用を決定することができる。測定の結果、光照射により拡散が遅くなり、分子間相互作用が強まることを示唆する結果を得た。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Okutsu, T., Nakamura, K., Haneda, H., Hiratuka, H.: "Laser-induced crystal growth and morphology control of benzopinacol produced from benzophenone in ethanol/water mixed solution."Crystal Growth and Design. 4. 113-115 (2004)