2004 Fiscal Year Annual Research Report
電極界面修飾を利用する光合成反応中心電子伝達鎖の光レドックス特性解明
Project/Area Number |
15033214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 正 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70092385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 祐樹 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10376634)
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Keywords | 光合成 / 光化学系(PS)I / 光レドックス特性 / P700酸化還元電位 / 分光電気化学計測 / 薄層電解セル |
Research Abstract |
光合成の初期過程は、十数段階の分子間エネルギー移動・電子移動を経ながら総合量子収率がほぼ1と、光エネルギー変換効率が極めて高い。とりわけ光→電子エネルギー変換を担う反応中心では、機能分子群のもつレドックス電位が絶妙にチューニングされていることにより、驚異の効率が生み出されていると推測されるが、詳細は明らかにされていない。そこで、本研究では、電極表面の化学修飾によりタンパク質の編成を抑えた条件の下、電位を精密に制御できる分光電気化学計測を行い、電子伝達鎖の光レドックス特性の解明を目的とする。 ホウレンソウなど高等植物やThermosynechococcus elengatusなどラン藻、および緑藻、紅藻といった種々の酸素発生型光合成生物から、光化学系(PS)Iタンパク質複合体を単離し、薄層電解セルを用いて分光電気化学計測を行った。電解セルの作用極には、4,4'-ジチオピリジンで表面修飾したAuメッシュ電極を用いている。いずれのサンプルも、反応中心P700の酸化還元に伴う明瞭なスペクトル変化が観測され、各電位における吸光度変化よりP700の式量電位E^<01>を求めた。この手法による測定誤差は、すでに±2mV程度であることを確認している。従来の定説ではこの電位は生物種によらないものとされてきたが、この高い測定精度により、生物種による優位な差を見出し、ほぼ進化の系統樹に応じた形で、P700のE^<01>が分類されることを初めて明らかにした。 これらの生物種に関して、PS Iへの電子供与体として存在が確認されている移動性タンパク質(プラストシアニン(PC)、シトクローム(Cyt)_<c6>)に注目してみると、一定の傾向にしたがって分類されることが示唆された。したがって、生物種による酸化還元電位の相違は、PS Iの移動性タンパク質との結合サイトにおけるアミノ酸配列が影響しているのではないかと推察するに至った。
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Research Products
(3 results)