2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドリド還元を選択的に駆動する光触媒の高機能化-面不斉還元への応用と金属錯体・半導体ハイブリッド化-
Project/Area Number |
15033223
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石谷 治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50272282)
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Keywords | 光触媒 / ヒドリド還元 / 人工光合成 / NAD(P) / 不斉還元 |
Research Abstract |
(1)ルテニウム錯体以外の金属錯体への展開 最低励起状態はMLCTであり、光配位子交換反応の効率が、ルテニウムより格段に低いことが、これまでの研究で明らかになっているレニウムビピリジン錯体およびイリジウムポリピリジン錯体の合成経路の確立を試みた。現在、目的錯体の前駆体[Re(bpy)(CO)_3(S)]^+および[Ir(tpy)(bpy)Cl]^<2+>(bpy=2,2'-bipyridine ; tpy=2,2':6,2"-terpyridine ; S=DMF, MeCN)の合成に成功している。 (2)半導体-金属錯体ハイブリッド化光触媒の開発 新たに設計したリン酸基を有するヒドリド移動光触媒の合成経路の確立を試みた。現在、リン酸基の保護基を脱離する方法を模索している。これが可能になると、半導体表面に化学結合することが可能になる錯体の収率の良い合成法が完成する。 (3)不斉配位子を有するヒドリド還元光触媒の創製 面不斉ヒドリド還元を駆動する光触媒を創製するため、不斉場を有するジイミンを配位したルテニウム錯体を合成することに成功した。種々のピリジニウム環の4位にメチル基等の置換基を有するNAD(P)モデル化合物を合成し、本光触媒による還元反応を試みたが、モデル化合物の還元電位が高すぎたため、効率よく反応が進行しなかった。ただし、反応の重要な中間体であるヒドリド錯体を別途合成し、モデル化合物と加温下で反応させたところ、60%eeを超える光学収率で、目的のジヒドロ体が得られることがわかった。現在、還元電位の低いNAD(P)モデル化合物の合成を行っているところである。
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