2003 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒と熱触媒を併用した"使用済み光ディスク"の新規な廃棄処理システム
Project/Area Number |
15033225
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
水口 仁 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宏雄 ソニー(株), 厚木第2テック光ディスク開発担当, 部長(研究職)
千住 孝俊 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70322097)
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Keywords | 光触媒 / 熱触媒 / 酸化チタン / 光ディスク / 廃棄処理 |
Research Abstract |
酸化チタンのバンドギャップは3.2eVもあるので、紫外域の光でしか電子と正孔を生成することが出来ない。しかし、酸化チタンは半導体であり、温度の上昇に伴い熱平衡キャリヤーは指数関数的に増加する。例えば酸化チタンを350-500℃程度に加熱し、この温度領域で被酸化物(ポリカーボネート;PC)を溶融状態に置くことができれば、酸化チタン表面に蓄積した正孔は被酸化物を効率よく、かつ連続的に酸化分解が出来ると想定した。このシステムが「光触媒と熱触媒を併用した"使用済み光ディスクの新規な廃棄処理システム」である。本年度は産業廃棄物として問題となっている光ディスク材料であるPC(融点:約220℃、分子量:約20000)を短時間で完全分解(CO_2/H_2O)をすることを目的とした。今年度の成呆として、PCを効率よく酸化チタン表面に特異吸着させるためには、トルエンに溶解したPCで被覆しておくことが有効であること、また、このような条件下では分解反応が瞬時に進行することが分かった。PCの分解過程を述べると、まず白色の酸化チタンはPCと接触すると褐色となり、PCの分解とともに赤褐色のガスを発して一瞬にして白色に戻ることを確認した。赤褐色のガスは実のところガスではなく、PC中に含まれる滑剤であるカルシューム石鹸のCaの炎色反応であることが分かった。また、この分解工程を真空中で行う場合と空気中で行う場合とでは分解生成物に大きな違いがあることが質量分析の結果明らかになった。空気下で行う分解実験では20000もあるPCは最終的には炭酸ガスと水に完全分解するのに対し、真空中では様々な分解生成物が残り完全分解とはならないことが分かった。つまり、酸素を含む雰囲気ではPCの分解過程は2段階で進行、20000程度の分子量を有するPCはまず酸化チタンの熱平衡キャリヤーの正孔で数千程度のフラグメントに分解し、その後これらの小さな分子量を有するフラグメントは酸素下で燃焼し、炭酸ガスと水に分解することが明らかになった。つまり、PCの完全分解には酸素が不可欠である。以上の熱平衡キャリヤーを併用したPCの新規な分解システムを特許化し、学術論文として纏め上げた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J.Mizuguchi, H.Shikamori: "Spectral and Crystallographic Coincidence in a Mixed Crystal of Two Components and a Crystal of Their Hybrid Component in Pyrrolopyrrole Pigments"Journal of Physical Chemistry B. 108. 2154-2161 (2004)
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[Publications] J.Mizuguchi, M.Tanifuji, K.Kobayashi: "Electronic and Structural Characterization of a Piezochromic Indigoid : 11-(3'-Oxodihydrobenzothiophen-2'-ylidene)cyclopenta[1,2-b:4,3-b']dibenzothiophene"Journal of Physical Chemistry B. 107. 12635-12638 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi: "The electronic structure of perylene pigments as viewed from their crystal structure and excitonic interactions"Advances in Color Science and Technology. Vol.6,No.4. 100-104 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi, H.Yamakami: "Structural Characterization of Y-like Titanylphthalocyanine"Journal of Imaging Science and Technology. 47. 25-29 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi, H.Takahashi, K.Shiokawa: "Desorption of Water Molecules and its Effect on the Dark Conductivity and Photoconductivity in X-Magnesiumphthalocyanine"Journal of Imaging Science and Technology. 47. 441-446 (2003)
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[Publications] J.Mizuguchi: "Crystal structure of a second modification of N, N'-di-n-butylperylene-3,4:9,10-bis(dicarboxyimide)"Zeitschrift fur Kristallograhie : New Crystal Structure. NCS218. 131-133 (2003)