2004 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒と熱触媒を併用した“使用済み光ディスク"の新規な廃棄処理システム
Project/Area Number |
15033225
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
水口 仁 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千住 孝俊 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70322097)
高橋 宏雄 東洋インキエンジニアリング(株)・エンジニアリング部
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Keywords | 光触媒 / 熱触媒 / 酸化チタン / 光ディスク / 廃棄処理 |
Research Abstract |
本研究では光励起ならびに熱励起により生成する正孔の高い酸化力を使って、有機物を効率よく完全分解(水と炭酸ガス)することを目的としている。特に熱励起に基づくキャリヤー生成は光励起に比べ10桁以上も効率が良いことが分かってきた。実践的な面としては酸化チタンに限らず高温度(200-500度)、酸素下で安定に動作する半導体であれば本分解反応に有効と考え、各種の酸化物半導体を検討した。その結果、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化クロムその他で大きな活性が確認された。更に、被分解物としてあらゆる種類のポリマーを検討した。その結果、熱可塑性のポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンをはじめ、熱硬化型の3次元ポリマー(エポキシ樹脂など)も完全分解できることが明らかになった。理学的な面では、ポリカーボネートの分解過程を熱分析、IRスペクトル、ESRスペクトルで検討した。驚くべきことに、高温状態で酸化チタンと融解したポリカーボネートが"固体/液体"界面で効率よく分解されるばかりでなく、酸化チタンと直接に接触していない部分のポリカーボネートも一瞬にして分解することが分かった。そのメカニズムは融点を有さない熱硬化型のポリマーの分解反応も説明できる。溶融状態のポリカーボネートや固体状態のポリカーボネートは酸化チタンの正孔によって結合電子が奪われ、ポリカーボネート内にラジカルを形成する。このラジカルはポリカーボネートの主鎖に沿って伝播し、酸化チタンと直接接触していない部位にも及ぶ。そしてラジカル開裂によりポリカーボネートは一瞬にして分解することが明らかになった。つまり、全くESR信号が観測されないポリカーボネートではあるが、分解が進むにつれて飛躍的にラジカルの濃度が上昇することが分かった。また、これと同時に分子量が急激に低下することも熱重量分析や示差熱分析から支持された。さらに、IRスペクトルからもポリカーボネートのメチル基の部位で結合の切断が起こることも分かった。
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Research Products
(7 results)