2003 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒反応による細胞内DNAおよびタンパク質損傷機構の解明
Project/Area Number |
15033237
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平川 和貴 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助手 (60324513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Keywords | 光触媒 / 光増感剤 / 二酸化チタン / 光線力学的療法 / DNA損傷 / 光毒性 / 活性酸素 / 光誘起電子移動 |
Research Abstract |
光触媒の生物に対する光毒性は抗菌剤に利用されており、がんの光治療への応用も研究されている。光毒性は活性酸素の生成等を介したDNAやタンパク質等の生体高分子の損傷によって起こると考えられているが、その詳しいメカニズムには不明な点も多い。本年度、二酸化チタン(TiO_2)等の光触媒作用によるDNA損傷の分子機構についてヒトがん関連遺伝子DNAを用いた実験で検討した。TiO_2光触媒によるDNA損傷には生体内金属イオン(特にCu^<2+>)が重要な役割を示し、Cu^<2+>存在下、比較的微量(〜4μg/mL)のTiO_2粒子(アナターゼ、ルチル)によって顕著なDNA損傷が観測された。DNA損傷の活性種として過酸化水素とCu^+の関与を明らかにした。電気泳動により、グアニンとチミンが高い頻度で損傷され、グアニンの酸化物として8-オキソ-7,8-ジヒドロ-2'-デオキシグアノシン(8-oxodGuo)の生成を確認した。Tの損傷は、8-oxodGuo生成部位の隣で頻繁に起こり、GTの二塩基損傷が示された。さらに光触媒反応でリン脂質、糖、タンパク質等の細胞内物質が過酸化物となりDNA損傷を引き起すことを明らかにした。この結果は、TiO_2光触媒による細胞内DNA損傷において直接的な作用の他、過酸化物生成を介した二次的作用の関与を示している。 また、DNA損傷性を指標として、光治療に有効な光増感剤の探索を行った。キサントン類の研究で、光増感剤のイオン化ポテンシャルとDNA損傷性との相関を明らかにした。この結果は、光増感剤の光毒性が分子軌道計算からある程度予測可能であることを示唆している。一方、植物由来の消光剤(Gentiacaulein)が効果的に光化学的DNA損傷を抑制することを明らかにし、光治療の副作用に対する化学防護剤としての可能性を報告した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 平川和貴: "Photo-irradiated Titanium Dioxide Catalyzes Site Specific DNA Damage via Generation of Hydrogen Peroxide"Free Radical Research. 発表予定. (2004)
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[Publications] 平川和貴: "Base Oxidation at 5' Site of GG Sequence in Double-stranded DNA Induced by UVA in the Presence of Xanthone Analogues : Relationship between the DNA-damaging Abilities of Photosensitizers and Their HOMO Energies"Photochemistry and Photobiology. 7. 349-355 (2003)
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[Publications] 平川和貴: "Chemopreventive Effect of Xanthone Derivatives on DNA Damage Photosensitized by Riboflavin"Photomedicine and Photobiology. 25. 31-32 (2003)
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[Publications] 川西正祐: "Sequence-specificity and Molecular Mechanisms of DNA Damage Induced by UV Radiation"Photomedicine and Photobiology. 25. 3-4 (2003)
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[Publications] 平川和貴: "光線力学的療法:光増感反応の医学への応用"光化学(Photochemistry). 34巻・3号. 211-213 (2003)