2003 Fiscal Year Annual Research Report
気相中および水中の有機塩素化合物を高効率で無害化するための光触媒の開発
Project/Area Number |
15033250
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山崎 鈴子 山口大学, 理学部, 助教授 (80202240)
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Keywords | 光触媒 / 二酸化チタン / 有機塩素化合物 |
Research Abstract |
気相系および水系での有機塩素化合物の無害化効率を向上させるために実験を行った。光触媒による浄化技術として実用化されつつあるのは、土壌や地下水の汚染物質であるトリクロロエチレン(TCE)等の有機塩素化合物の分解装置である。しかし、光触媒分解の結果、副生成物としてクロロホルムやホスゲン等の有害な塩素系化合物が生成することが知られている。平成14年度の研究では、二酸化チタンに水酸化カルシウムや銅粉を共存させることにより、クロロホルムやホスゲンの生成を抑制できること、処理後のガスを中和する際にホスゲンは水にトラップされるがクロロホルムは大気中へ放出されることを明らかにした。そこで本年度は、まず気相系において二酸化チタンペレットを用いたクロロホルムの光触媒分解反応について研究した。二酸化チタンペレットはゾル-ゲル法で合成した。その結果、塩素化エチレン類やエタン類と異なり、クロロホルムは完全に二酸化炭素へ分解できるが、反応の進行とともに無機の塩素が触媒表面に蓄積し、光触媒活性が著しく減少していくことを見出した。さらに、水酸化カルシウムを触媒と共存させることにより、光触媒活性の低下を抑制できることがわかった。以上のことより、TCEから副生成するクロロホルムを光触媒分解することでTCEの完全無害化を達成するためには、塩素の蓄積による触媒活性の低下を抑えることが必要であることがわかった。 一方、水系では気相系よりも分解効率が低いために、光触媒を用いた汚染物質の浄化技術は実用化されていない。水系での効率の低さは反応物質の光触媒表面への吸着を水分子が阻害するためであると考えられている。そこで、有機物の触媒表面への吸着性を高めるために、二酸化チタンペレット表面をシリル化して、CH_3、C_2H_5、C_6H_5、C_<18>H_<37>基で修飾した。これらをトリクロロエタン(TCA)水溶液に浸したところ、表面修飾をしていない場合にはTCAの吸着が全く見られなかったのに対して、いずれの有機鎖で修飾した二酸化チタンにおいてもTCAが吸着し、とくにC_<18>H_<37>の場合には吸着率が約70%にも達し、水系での吸着除去に有効であることがわかった。
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[Publications] S.Yamazaki, T.Hayashi: "Photocatalytic Activity of TiO_2 synthesized by the Sot-gel Method"Journal of Chemical Research. 423-425 (2003)
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[Publications] S.Yamazaki, N.Takemura, Y.Yoshinaga, A.Yoshida: "Transmittance Change of the TiO_2 Thin Film by Photoreductive Deposition of Cu(II)"Journal of Photochemistry and Photobiology. 161. 57-60 (2003)
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[Publications] 山崎鈴子, 谷村俊史: "酸化チタン光触媒表面での揮発性有機塩素化合物の分解反応-無害化のための指針-"表面(Reviews and Topics on Surface Science & Technology Avant-garde). 40(12). 415-423 (2003)
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[Publications] S.Yamazaki, T.Tanimura, A.Yoshida, K.Hori: "Reaction Mechanism of Photocatalytic Degradation of Chlorinated Ethylenes on Porous TiO_2 Pellets : Cl Radical Initiated Mechanism"Journal of Physical Chemistry. (印刷中). (2004)