2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15033252
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小畠 誠也 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00325507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 建児 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80262145)
河合 壯 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (40221197)
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Keywords | フォトクロミズム / 結晶 / 表面 / 光制御 / 原子間力顕微鏡 / X線構造解析 / 混晶 / ナノ制御 |
Research Abstract |
本研究では、有機結晶表面が光により可逆な変化を示すジアリールエテン結晶の探索、ナノ表面制御、結晶表面加工、ナノ積層構造変化について検討した。 ジアリールエテン単結晶に紫外光を照射すると、表面には窪みが形成することを初めて見いだした。窪みの大きさは直径数100nm、深さ数10nmであった。可視光照射により表面は元の平らに戻った。窪みの大きさの変化を明らかにするために、フォトクロミック反応に伴う結晶表面の比表面積変化を追跡した。370nm光照射では、5秒間照射すると窪みの形成により表面積は2.3%増加し、照射時間とともに比表面積は増加した。照射波長を変え、結晶中で閉環反応する分子数が同じになるように照射時間を調整して表面変化を観察した。350、370、390、および415nm光を照射すると、長波長光照射になるほど比表面積変化は小さいことが明らかとなった。これは長波長光照射により結晶内部まで反応し、表面付近での光生成異性体の分布が小さいためと考えられる。このように、照射波長と照射時間によってナノ表面制御が可能であることを明らかにした。 5μm×15μmパターンを持ったフォトマスクを用いて、結晶表面に部分的に紫外光を照射した。366nm光(5mW/cm^2)を60秒照射した。光照射部分において、反応初期には窪みが形成し、その後窪みと突起が形成し、最終的にはナノオーダーの小さな凹凸へと変化した。このように結晶表面への可逆な光加工に成功した。 アリール-ペルフルオロアリール相互作用を利用することにより、2種類のジアリールエテンの混晶の作製を試みた。その結果、1:1の組成で混合し再結晶を行うと、それぞれの単結晶とは異なる結晶が析出した。X線構造解析により1:1で規則正しく交互に積層構造を有していることが明らかとなった。両化合物ともフォトクロミック反応可能なコンフォメーションをとっているが、混晶に紫外光を照射すると、片方のジアリールエテンのみが優先的に光閉環反応し、特異なナノ構造を形成していることが明らかとなった。結晶内で励起エネルギー移動が起こっていることを示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Morimoto, S.Kobatake, M.Irie: "Multicolor photochromism of two- and three-component diarylethene crystals"J.Am.Chem.Soc.. 125・36. 11080-11087 (2003)
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[Publications] M.Morimoto, S.Kobatake, M.Irie: "Aryl-Perfluoroaryl Interaction in Photochromic Diarylethene Crystals"Crystal Growth & Design. 3・5. 847-854 (2003)
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[Publications] S.Kobatake, M.Irie: "Synthesis and photochromic reactivity of a diarylethene dimer linked by a phenyl group"Tetrahedron. 59・42. 8359-8364 (2003)
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[Publications] S.Kobatake, M.Irie: "Synthesis and photochromism of diarylethenes with isopropyl groups at the reactive carbons and long π-conjugated heteroaryl groups"Chem.Lett.. 32・11. 1078-1079 (2003)
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[Publications] M.Morimoto, S.Kobatake, M.Irie: "Photochromism of diarylethenes in nanolayers of a single crystal"Photochem.Photobiol.Sci.. 2・11. 1088-1094 (2003)
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[Publications] S.Kobatake, M.Irie: "Single-crystalline photochromism of diarylethenes"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 77・2. 195-210 (2004)