2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15033252
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小畠 誠也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00325507)
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Keywords | フォトクロミズム / 結晶 / 微結晶 / X線構造解析 / 原子間力顕微鏡 / 顕微分光 / ジアリールエテン / 結晶表面 |
Research Abstract |
フォトクロミックジアリールエテンは結晶状態においてもフォトクロミズムを示す。これまでジアリールエテン結晶は紫外光照射により10%程度までは結晶を維持したまま反応は進行するが、それ以上は進行しない。結晶の厚みを小さくすると、結晶は光を均一に吸収し、高い反応率まで反応が進行することが期待される。そこで本研究では、昇華法により薄膜の結晶を作製し、フォトクロミック反応挙動について検討した。 昇華法による結晶生成を検討するために、10種類以上のジアリールエテンの昇華について検討した。常圧で室温から融点付近まで温度を上昇させ、ガラス基板上に昇華を行った。たいていの場合、小さな結晶とともにアモルファス状のものが形成し、きれいな微結晶は得られなかった。あるジアリールエテンにおいてはガラス基板一面に小さな微結晶が生成した。結晶の厚みは見かけの反応速度と反応率に依存するため、厚みを測定し、反応の進行を追跡した。その結果、10μm以下の結晶では比較的高い反応率まで反応が進行した。また、1μm以下の厚みの結晶では、非常に速く反応が進行し、溶液中と同様な反応率まで達した。反応の進行に伴う結晶外形の変化を原子間力顕微鏡によって追跡したところ、わずかな変化が観測された。可視光照射により分子構造が元に戻ると、結晶外形も元に戻った。このような高い反応率まで反応が進行する結晶においては、高反応率までの反応の追跡が可能である。そこで、顕微分光システムを用いて吸収スペクトルを測定した。反応初期から中期にかけて吸収極大が短波長シフトするのが見られた。これは反応の進行に伴い、歪んだ構造の閉環体から安定な閉環体へと変化したためだと考えられる。
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Research Products
(5 results)