2004 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解走査プローブ顕微鏡による界面ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
15033273
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60163664)
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Keywords | 色素増感 / 太陽電池 / CdTe / ポリチオフェン / 酸化チタン / 走査プローブ顕微鏡 / フェムト秒 / メゾスコビック構造 |
Research Abstract |
本年度は,ヨウ素溶液の不必要なプラスチック型色素増感太陽電池における光化学初期過程,特に電子移動反応ダイナミクスを解明する為に,ピコ秒時間分解発光SNOMを酸化チタン/増感色素系に適用し,この様な系の微小構造と電子移動ダイナミクスの関係を解明した。増感色素として,ポリチオフェン系誘導体,および耐光性のあるCdTeの様な半導体ナノ微粒子を用いた。ポリチオフェン系誘導体(POT)に関しては,サーモクロミック特性やpHクロミズムがあり,この様な電子状態変化と局所構造変化および電子移動過程の相関を解明した。 基盤としての酸化チタンに関しては,太陽電池用の市販TiO_2に比べてペルオキソチタン酸水溶液から作製したアナターゼゾルTiO_2が,光触媒だけでなく太陽電池としての効率上昇に優れていることが明らかになった。CdTeナノ微粒子を吸着させた薄膜においては,溶液中と同様な吸収と発光スペクトルが観測されたが,発光寿命をみるとTiO_2薄膜上では焼結時間が長くなる程寿命が短くなっており,CdTeナノ微粒子からTiO_2へ光電子移動を示唆している。しかし走査プローブ顕微鏡で解析すると空間的に不均一であると共にCdTeナノ微粒子は薄膜上ではがれやすく太陽電池として用いるだけの十分な吸収強度を得ることはできなかった。一方,POTを吸着させた薄膜においては,ガラス基板上とTiO_2上でわずかな差しか観測されず,POTでは電子移動と基底状態への緩和が競争的に起こるために電子移動効率が悪いものと考えられる。また、波長依存性もほとんど見られなかった。POT薄膜を高湿度条件下で作製しSNOMによる測定を行ったところ微小水滴にアシストされた円形構造が蛍光像として観測されると共に,場所依存性が大きく,高分子間相互作用が強い事が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)