2003 Fiscal Year Annual Research Report
単一イオン注入法による半導体ナノ構造スピンデバイス
Project/Area Number |
15034214
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀越 佳治 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60287985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野満 恒二 早稲田大学, 理工学部, 助手 (30350466)
品田 賢宏 日本学術振興会, 特別研究員(PD)
大泊 巌 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063720)
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Keywords | シングルイオン注入 / スピンナノデバイス / 強磁性クラスター / 希薄磁性半導体 / スピントランジスタ / MBE / MEE |
Research Abstract |
我々は、スピンナノデバイスの実現に向けて、磁性イオンをシングルイオン注入することにより、GaAs中に磁性ナノクラスターを配列させる手法と、希薄磁性半導体であるGaMnAsの特性改善の二方向から進めている。 磁性ナノクラスターの作成は、まずNiイオンを100nm毎に配列した直径100mの領域に注入し、800度でアニールすることでNiクラスターの形成を見込んだが、磁気的秩序は発現しなかった。これは、常磁性であるNiAsクラスターが形成したためと考えている。現在、GaAsと層分離が容易で、強磁性であるMnAsクラスターの形成を目指し、イオン源の開発を行っている。 次にGaMnAsに関して、Mn濃度に加え、ホール濃度を増加させることによりキュリー温度が上昇することがわかっているが、Mnを高濃度にドーピングするとMnAsが形成されるなど結晶性が悪化してしまう。これらの問題解決のため、キュリー温度を上昇させるために、Mn濃度とは独立にホール濃度の増加を図る必要がある。そこで、本研究ではGaAs中で一般的に用いられている安定なアクセプタ不純物であるBeに着目し、Mnと共ドーピングを行った。しかし、MnとBeの共ドーピングところ、共ドーピング時のキャリア濃度は増加するどころか逆に減少してしまうなど、大幅な特性劣化が生じた。そこでMnとBeを原子層レベルで空間的に分離してドーピングを行ったところ、キャリア濃度、移動度や抵抗率の大幅な改善を確認した。磁気抵抗を調べたところ、共ドーピングしたサンプルでは強磁性秩序は観測できなかったのに対して、MnとBeのドーピング層を空間的に分離したサンプルでは強磁性秩序が確認できた。今後は、今回得られたMnとBeの共ドーピング特性の知見を生かし、局所的にさらにMnおよびBe度を向上させるなどして、強磁性秩序との相関関係を調べていく予定である。
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