2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規な含カルコゲン二座配位子を有する金属錯体の合成と動的挙動の解明
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15036226
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村井 利昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (70166239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝原 文利 岐阜大学, 工学部, 助手 (60362175)
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Keywords | セレノホスフィン酸クロリド / セレノホスホン酸クロリド / ビナフチル基 / セレノホスフィン酸アミド / 脱セレン化反応 |
Research Abstract |
通常の有機化合物の酸素原子を同族のイオウ、セレン、テルル原子で置き換えることで多くの新しい化合物群を設計することができる。一般に第三周期以降の原子は、よりソフトであることやイオン半径が大きくなることから遷移金属などへ強い配位力を有する分子の構築が期待される。その中でこれまでカルボン酸、リン酸誘導体のカルコゲン原子同族体を基盤とする配位子の設計、新合成反応の開発を行ってきた。ここでは、特に非対称セレノホスフィン酸誘導体ならびにビナフチル基を有するホスホン酸誘導体に着目し、金属錯体の合成と動的挙動の制御を目指した。 まず非対称なセレノホスフィン酸誘導体の合成原料である塩化物を高収率で合成する方法を確立した。すなわちフェニルジクロロリンに対してセレン、Grignard反応剤を加えることで塩化物を合成した。ついでこれを用いて種々のセレノホスフィン酸誘導体を導いた。また光学活性なアミンを用いた反応では、ジアステレオマーの分離により光学活性セレノホスフィン酸アミドの単離に成功した。 さらに三塩化リン、1,1-ビ-2-ナフトール、セレンから誘導されるセレノホスホン酸塩化物からも同様の方法で種々の誘導体を導いた。 ついで一連の誘導体の脱セレン化反応についても検討した。その結果、トリブチルホスフィンを作用させることで三価の対応するリン化合物を導くことができた。 なおここで用いる塩化物は通常のホスフィン酸、ホスホン酸塩化物とは異なり、空気中室温でも安定で、容易に加水分解を受けなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Murai, M.Ishizuka, A.Suzuki, S.Kato: "Reaction of lithium eneselenolates derived from selenoamides with ketones : a highly diastereoselective synthetic route to α-disubstituted α-hydroxy selenoamides."Tetrahedron Lett. 44. 1343-1346 (2003)
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[Publications] Y.Mutoh, T.Murai: "Acyclic selenoiminium salts : isolation, first structural characterization, and reactions"Org.Lett.. 5. 1361-1364 (2003)
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[Publications] T.Mural, A.Fujishima, C.Iwamoto, S.Kato: "Highly efficient Peterson olefination leading to unsaturated selenoamides and their characterization"J.Org.Chem.. 68. 7979-7982 (2003)
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[Publications] T.Murai, H.Aso, Y.Tatematsu, Y.Itoh, H.Niwa, S.Kato: "Reaction and characterization of thioamide dianions derived from N-benzyl thioamides"J.Org.Chem.. 68. 8514-8519 (2003)