2003 Fiscal Year Annual Research Report
柔構造をもつ架橋配位子の設計による高反応活性複核金属錯体の合成と触媒反応への展開
Project/Area Number |
15036253
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永島 英夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50159076)
|
Keywords | 複核錯体 / 架橋配位子 / 動的挙動 / バイメタリック触媒 / ヘテロバイメタリック錯体 / 分子触媒 |
Research Abstract |
本研究は、フレキシブルに活性金属中心を発生する架橋配位子を開発することにより、触媒反応開発の鍵となる複核構造をもつ配位不飽和種=高活性複核有機金属錯体の合成をおこなうとともに、2つの金属の相乗効果による反応基質の特異的な活性化を達成し、それを生かした有機合成用新規分子触媒反応の開発をおこなうこと、目的としている。触媒サイクルにおける反応活性種は、基質の活性化、化学変換の過程において、柔軟に構造変化を起こす。本特定領域の骨子であるこの錯体の動的な性質を、アミジナート、アミノホスフィンの2つの架橋配位子の配位的フレキシビリティーを利用して、複核錯体に導入することにより、世界的に萌芽期にあるバイメタリック触媒の開発を達成する。平成15年度の成果として、とくに、すでに報告している2つのペンタメチルシクロペンタジエニル基を有するカチオン性複核ルテニウムアミジナート錯体の誘導体のシクロペンタジエニル誘導体の合成経路を新たに開発し、構造的な特徴、アミジナート配位子の動的挙動、さらにその配位不飽和性を活かした基礎的な反応性を明らかにした。また、これらの複核錯体の触媒作用として、有機ハロゲン化合物の活性化反応を検討し、原子移動型ラジカル環化反応、原子移動型ラジカル重合への応用が可能であることを示した。また、アミノホスフィン配位子をもつチタン錯体を設計、合成し、それらと後周期遷移金属種との反応により、新規ヘテロバイメタリック錯体の合成を達成した。以上の成果は、反応性複核錯体の化学の重要な糸口を与える成果として、今後の触媒反応への展開が期待される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Y.Motoyama, M.Gondo, S.Masuda, Y.Iwashita, H.Nagashima: "A Cationic Diruthenium Amidinate, (η^5-C_5Me_5)Ru(μ_2-i-PrN=C(Me)Ni-Pr)Ru-(η^5-C_5Me_5)]^+, as an Efficient Catalyst for the Atom-transfer Radical Reactions"Chemistry Letters. (印刷中).
-
[Publications] S.Niibayashi, K.Mitsui, K.Matsubara, H.Nagashima: "Novel Titanium-Cobalt Complexes Formed by Reductive Cleavage of a Co-Co Bond in Co_2(CO)_8 by Titanocene tert-Butoxides : Synthesis, Characterization, and Mechanistic Aspects for Metal-Metal Bond Recombination"Organometallics. 22. 4885-4892 (2003)
-
[Publications] H.Nagashima, H.Kondo, T.Hayashida, Y.Yamaguchi, M.Gondo, S.Masuda, K.Miyazaki, K.Matsubara, K.Kirchner: "Chemistry of Coordinatively Unsaturated Organoruthenium Amidinates as Entry to Homogeneous Catalysis"Coordination Chemistry Reviews. 245. 177-190 (2003)
-
[Publications] V.N.Sapunov, R.Schmid, K.Kirchner, H.Nagashima: "The importance of interligand interactions to structure and reactivity of coordinatively unsaturated ruthenium and iron half-sandwich complexes - application of the TSC concept II"Coordination Chemistry Reviews. 238. 363-382 (2003)