2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15036264
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20278443)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン様作用 / 脂肪細胞 / 亜鉛錯体 / 血糖降下作用 / 作用機構 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
高活性インスリン様亜鉛錯体は、カルニチン、ベタイン、乳酸、キニン酸、アスコルビン酸およびマルトール関連配位子を用いて合成した。一部の錯体は、X線により結晶構造を解析した。検討したほとんどの錯体は、脂肪細胞を用いる遊離脂肪酸の放出抑制を指標とするインビボインスリン様活性を示し、さらに亜鉛-カルニチンや-アスコルビン酸錯体は経口投与により血糖降下作用と糖尿病改善作用を示すことを見出した。作用機構は、ラットの脂肪細胞と糖代謝や脂質代謝に関連する種々の阻害剤や活性化剤を用いて基礎的に研究し、亜鉛イオンは複数の作用点が相互に連関していることを見出し、このため亜鉛のインスリン様作用の機構をアンサンブルメカニズムと名づけた。本法を用いて、さらに亜鉛錯体の作用機構を研究している。 一方、亜鉛-マルトール関連錯体に関しては、5種類の配位子を用い、構造活性相関性を研究した。配位子および亜鉛錯体の分配位数(クロロホルム/生理食塩水系)を測定し、インビボインスリン様活性と比較した。配位子および亜鉛錯体の分配位数が大きくなる程、インビボインスリン様活性が高くなることを見出した。得られた結果から、ニンニクから得られたアリキシンの亜鉛錯体が最大の活性を示すことを見出した。さらに、亜鉛-マルトールと-アリキシン錯体を2型糖尿病モデルマウスに投与したところ、両錯体は同等の血糖降下作用を示したが、耐糖能試験では亜鉛-アリキシン錯体が高い改善作用を示すことが分かった。本錯体は高い分配位数を持つため、高い組織移性を示すことが予測され、亜鉛が全身に分布するために糖尿病状態を改善したと考えた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yutaka Yoshikawa: "Anti-diabetic effect of Zn(II)/carnitine complex by oral administration"Chem.Pharm.Bull.. 51・2. 230-231 (2003)
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[Publications] Yoshitane Kojima: "Insulinomimetic zinc(II) complexes with natural products : in vitro evaluation and blood glucose lowering effect in KK-A^y mice with type 2 diabetic mellitus"Chem.Pharm.Bull.. 51・8. 1006-1008 (2003)
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[Publications] Yutaka Yoshikawa: "The action mechanism of zinc(II) complexes with insulinomimetic activity in rat adipocytes"Life.Sci.. (印刷中).
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[Publications] 桜井 弘: "インスリン様作用を示すZn錯体"ファルマシア. 39・4. 301-303 (2003)
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[Publications] Kenji Kawabe: "Synthesis, structure analysis, solution chemistry, and in vitro insulinomimetic activity of novel oxovanadium(IV) complexes with tripodal ligands containing an imidazole group derived from amino acids"J.Biol.Inorg.Chem.. 8. 893-906 (2003)
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[Publications] Hiroyuki Yasui: "Specific binding of vanadyl ion (VO^<2+>) with thiolate of cysteine-34 residue in serum albmin, demonstrated by CD spectroscopy and kinetic property"Chem.Lett.. 32・11. 1032-1033 (2003)
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[Publications] 桜井 弘: "ESRの技法-バイオサイエンスの電子スピン共鳴-"日本学会事務センター. 195 (2003)