2004 Fiscal Year Annual Research Report
火道周辺岩石の浸透率測定によるマグマからのガス散逸に関する研究
Project/Area Number |
15038208
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 了 富山大学, 理学部, 助教授 (30262497)
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Keywords | 火山 / マグマ / 爆発 / 脱ガス / 浸透率 / 気泡 |
Research Abstract |
本研究の目的は,火道周辺岩石や火山岩の浸透率測定によりマグマからのガス散逸過程を明らかにすることである.本年度は,前年度に構築した浸透率測定システムを圧力発生装置に組み込んで,火山体浅部の圧力条件下で浸透率測定を行う予定であった.しかし,圧力容器を製作するメーカー(理研精機,新潟県小千谷市)が平成16年10月の新潟県中越地震で被災したため,封圧下での測定システムの整備は大幅に遅れており,平成17年3月に完成する見込みである.雲仙普賢岳平成火道のボーリングコア試料は確保しているので,封圧下での浸透率測定システムの整備後,至急その測定に取りかかる予定である. 予備実験として,焼岳溶岩試料の常圧下における浸透率測定および微細構造観察を行った.目的は,ガスの浸透性をもたらす気泡の連結過程を明らかにすることである.測定された浸透率(10^<-16>-10^<-11>m^2)の値を単純なチューブ・モデルに基づいて解釈すると,気泡の連結を維持しているのは浸透率が10^<-16>m^2の場合は0.1-10ミクロン,浸透率が10^<-12>m^2の場合でも10-100ミクロンと非常に細い部分であることがわかった.微細構造観察からは,気泡の多くが斑晶鉱物に接している様子が見られた.斑晶鉱物の多い箇所では,気泡どうしの接触している様子も見られた.接触部分は浸透率から示唆されるように非常に細いものであった.これらの観察事実は,斑晶鉱物が気泡の形成・成長の場となり,さらに気泡に変形を集中させるということを意味していると考えている.このように斑晶鉱物が気泡の連結に重要な役割を果たしているのではないかと考えている.
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