2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15039202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 宏治 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70261550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 宏之 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70022704)
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Keywords | 四肢 / 再生 / 幹細胞 / トランスジェニック動物 / 神経 / 形態形成 / 遺伝子発現 / 両生類 |
Research Abstract |
本年度は、無尾両生類アフリカツメガエルにおける不完全四肢再生の原因をパターン形成の面と組織分化の面から調べた。 まずパターン形成については、本来上腕部と自脚部を形成すべき再生芽が、アフリカツメガエルではそれぞれの部位を形成するのに必要な遺伝子発現をしておらず、とくに基部から先端にかけての形態形成が途中で滞っていることを見出した。これは形態を完全に再生できるはずの幹細胞である再生芽細胞が、正確な分化を起こすことができないことがアフリカツメガエルの不完全四肢再生の原因のひとつである可能性を示唆している。 また組織分化については、筋肉分化について調べた。アフリカツメガエルの四肢の再生体には筋肉がほとんど全く含まれていない事を確認し、さらに筋肉形成に必要な遺伝子発現が再生がにおいて観察されないことがわかった。しかし、筋肉再生の細胞供給源の可能性が示唆される筋衛星細胞を肢再生芽に移植すると顕著な筋肉分化が見られた。このことから再生芽の環境自体には筋肉分化を阻害する要素はないことがわかった。また筋肉細胞の誘引因子のひとつであるHGFの添加によっても筋肉組織を誘導することに成功した。このことは、再生芽は筋肉を再生・分化させる能力を持っているが、材料となる筋肉前駆体細胞が存在しない可能性を示している。 アフリカツメガエルを実験材料とするメリットのひとつである、トランスジェニック動物の作成により、上の2つの事柄についてより詳しい解析を続けている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tamura, K., Amano, T., Satoh, T., Saito, D., Yonei-Tamura, S., Yajima, H.: "Expression of rigf, a member of avian VEGF family, correlates with vascular patterning in the developing chick limb bud."Mechanisms of Development. 120. 199-209 (2003)
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[Publications] 田村 宏治: "脊椎動物の四肢の再生現象"遺伝. Vol.58, no.1. 49-55 (2004)
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[Publications] 井出宏之 編著: "四肢の形態形成"アイピーシー. 352 (2003)