2003 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の増幅・維持の分子機構とその制御シグナル伝達分子
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15039208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 智 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10242116)
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Keywords | 造血幹細胞 / アダプター蛋白質 / 細胞増殖 / シグナル伝達 / 再生医療 / 骨髄移植 / サイトカイン / サイトカイン受容体 |
Research Abstract |
1、造血幹細胞の増幅に関与するLnk依存性制御系の標的受容体及び標的遺伝子群の同定 Lnk欠損造血前駆細胞における遺伝子発現プロファイルの変化をジーンチップを用いて明らかにするべく、造血幹細胞の精製、mRNAの分離など検体の準備を進め、解析を開始した。Lnk欠損マウス骨髄では、CD34-cKit+Scal+Lin-細胞、Hoechst染色によって識別されるSP細胞が著しく増加するとともに機能的な骨髄造血幹細胞の顕著な増加が生じていること、一部の造血幹細胞においては個々の細胞あたりの造血系再構築能も亢進していることを明らかにした。 2、Lnkの機能阻害分子による造血幹細胞制御法の検討 Lnk機能ドメインの同定及びその変異導入によるドミナントネガティブLnk変異体の作製を試み、Lnkの機能阻害による造血前駆細胞の造血能増強の可能性について検討した。Lnkの各部位にアミノ酸置換変異や欠失変異を導入して作製した種々のLnk変異体をc-Kit依存性に増殖する細胞株に発現させた。Lnkによる増殖抑制にはSH2ドメインが必須であり、Lnk SH2変異体はドミナントネガティブ変異体として機能することがわかった。Lnk SH2変異体を骨髄造血前駆細胞にGFP共発現レトロウィルスベクターを用いて感染導入した後、放射線照射したマウスへ移植し造血能に及ぼす効果を比較検討した。Lnk SH2変異体を発現する造血前駆細胞を移植した群では、コントロールベクター発現群に比しB細胞、T細胞及び顆粒球系細胞におけるGFP陽性細胞の割合が有意に増加していた。Lnkドミナントネガティブ変異体は内因性に発現するLnk機能を阻害することにより造血前駆細胞の造血能を亢進させると考えられ、造血前駆細胞及び造血幹細胞の機能制御に有用と思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takaki, S.: "Impaired lymphopoiesis and altered B cell subpopulations in mice overexpressing Lnk adaptor protein."J.Immunol.. 170・2. 703-710 (2003)
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[Publications] Minami, A.: "Increased insulin sensitivity and hypoinsulinemia in APS knockout mice."Diabetes. 52. 2657-2665 (2003)
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[Publications] Nobuhisa, I.: "Regulation of hematopoetic development in the Aorta-gonad-mesonephros region mediated by Lnk adaptor protein."Mol.Cell.Biol.. 23. 8486-8494 (2003)
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[Publications] Kubo-Akashi, C.: "Roles of a conserved family of adaptor proteins, Lnk, SH2-B, and APS, for mast cell development, growth, and functions."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 315. 356-362 (2003)
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[Publications] Moon, B.G.: "Role, of interleukin-5 in B-1 cell maturation for survival, homeo- static proliferation and differentiation into IgA-producing cells."J.Immunol.. (印刷中). (2004)
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[Publications] Iseki, M.: "The negative regulatory role of APS, an adaptor molecule containing PH and SH2 domains, in B-1 cells and BCR-mediated proliferation."Mol.Cell.Biol.. (印刷中). (2004)