2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄-腸上皮相互作用による腸管上皮幹細胞システム制御機構の解析
Project/Area Number |
15039214
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 隆典 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40245478)
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
石川 博通 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051667)
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Keywords | 腸管上皮細胞 / 再生医療 / 分化誘導療法 / 骨髄細胞 / transdifferentiation / 慢性大腸炎 / Notchシグナル / Wntシグナル |
Research Abstract |
本研究は、申請者らが独自に見いだした腸管上皮細胞の分化・再生機構の特殊性の理解に基づいて、慢性大腸炎に対する新規治療法の開発を目指すものである。当初の研究計画に基づく一定の成果が下記のごとく挙げられた。我々は骨髄細胞が腸管上皮へ分化しうること、またこの機構は傷害後の腸管上皮再生をレスキューすることを世界に先駆けて報告し、大きな注目を集めることとなった。本年度はこれをさらに発展させ、a)骨髄細胞が腸管上皮細胞の分化形質を獲得し実際に機能細胞へと分化すること、b)骨髄細胞は未熟な上皮細胞としても生着し上皮修復に積極的に関わること、さらに、c)腸管上皮の細胞系列のうち、これら骨髄由来細胞は特に分泌型細胞(杯細胞、神経内分泌細胞など)への分化傾向を有すること、などを報告した(Gastroenterology, in press)。これら成績は、慢性炎症による障害後上皮再生に特異的分化制御調節が存在することを示唆し、今後の上皮再生医療、中でも分化系列特異的再生誘導療法につながるものと期待される。我々はまた、ヒト腸管上皮細胞が種々の細胞系列へ分化する分子機構の解析に着手した。なかでも、Notchシグナル、Wntシグナルがいかなる分子機構を介し腸管上皮細胞の分化に関わるかについて焦点を絞った解析をおこなっている。現時点ですでに、Notchシグナル誘導が腸管上皮細胞の脱分化を誘導しうるとの現象を見出し、現在これに関わるNotchシグナル標的遺伝子群の同定と細胞脱分化に関わる分子機構の解析をおこなっている。また、Wntシグナルの新規シグナル伝達経路の存在と、その標的分子による上皮細胞分化誘導機構の存在を新たに見出し、こちらについても詳細な検討を進めているところである。今後の研究の継続により、腸管上皮細胞に備わる特異的分化調節機構が明らかになり、これにより慢性大腸炎に対する有効かつ合理的な分化・再生誘導治療法の開発が可能となることが期待される。
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Research Products
(6 results)