2003 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の未分化性維持と自己再生の増殖因子による制御
Project/Area Number |
15039215
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
國貞 隆弘 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30205108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 力 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40334932)
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Keywords | ES細胞 / 色素細胞 / c-Kit / エンドセリン3 / 神経堤細胞 |
Research Abstract |
ST2ストローマ細胞上で胚性幹細胞(ES細胞)から試験管内で色素細胞を誘導できる培養系を開発した。今回、この分化誘導系を詳細に調べ、色素細胞分化の初期過程の解析を行った。誘導される色素細胞は培養液中にc-kit阻害抗体ACK2を加えると減少し、一方、Endothelin-3を加えると増加することから、c-kitシグナル、Endothelin-3シグナルに依存していた。また、胚の後方化に重要な役割を持つレチノイン酸を培養初期に加えたところ、色素細胞の出現効率が劇的に増加することもわかった。これらのことは、ES細胞から誘導できた色素細胞は表皮色素細胞と同様な発生プログラムに沿って生じていることを示し、その発生の途上で後方化した神経堤細胞である体幹神経堤細胞を経由している可能性を示唆している。また、RT-PCRで神経提細胞のマーカー遺伝子であるSox10の発現を観察したところ、培養7日目以降で発現が観察されたことから、少なくとも培養7日目以降で神経提細胞が誘導されている可能性が考えられた。このin vitroでの色素細胞分化を詳細に解析する目的で、培養細胞を経日的にセルソーターでソーティングして再培養を行った。培養6-13日まで検討したところ、10-13日目に再培養を行ったものから色素細胞のコロニーが優位に観察された。出現した色素細胞コロニーを比較観察したところ10日目に再培養を行って生じた色素細胞コロニーは比較的大きなものが多数みられ、GFAP陽性のグリア細胞が共存するものもみとめられた。このことは、増殖能に富んだ非常に未熟なメラノブラストもしくは未分化な細胞が培養10日目に発生している可能性を示唆している。以上の結果は、ES細胞から我々の培養系で誘導できた色素細胞は、正常の色素細胞の発生プログラム(体幹神経堤細胞-メラノブラスト)を経て形成されていることを強く示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kunisada, T.: "Development of melanocytes from ES cells."Methods Enzymol.. 365. 341-349 (2003)
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[Publications] Hara, A.: "Embryonic stem cells are capable of generating a neuronal network in the adult mouse retina."Brain Res.. 999. 216-221 (2004)
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[Publications] Pla, P.: "Dct::lacZ ES Cells : Novel Cellular Model to Study Melanocyte Determination and Differentiation."Pigment cell Res.. 17. 1-8 (2004)
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[Publications] Yamazaki, F.: "XPA gene-deficient, SCF-transgenic mice with epidermal melanin are resistant to UV-induces carcinogenesis"J.Invest.Dermat.. In press. (2004)
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[Publications] 國定隆弘: "ES細胞から誘導された眼様構造"再生医療. 2. 59-63 (2003)
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[Publications] 石崎勝彦, 國定隆弘: "ES細胞からの組織様構造の誘導"Molecular Medicine. 40. 123-127 (2003)