2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15039237
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 孝彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
|
Keywords | 幹細胞 / 遺伝子 / ES細胞 / マイクロアレイ / 精原細胞 |
Research Abstract |
組織幹細胞の基本的性質は、胚発生初期のepiblastやES細胞と共通の遺伝子プログラムにより維持されていると考えられているが、組織幹細胞がなぜ自分の系統以外の細胞を分化させる能力を喪失するのかは解っていない。そこで、cDNAマイクロアレイやRDA法を用いて、全能性幹細胞から組織幹細胞への遺伝子プログラム変化の実体を明らかにすることを目的とした。昨年、TALEファミリーホメオボックス遺伝子Meis3がES細胞の分化に伴って発現が低下し、逆にMeis1,Meis2の発現は上昇することを示した。Meis1とMeis3は純化した骨髄造血幹細胞を含む分画に発現していたが、Meis3 cDNAを骨髄造血幹細胞に強制発現させた場合にのみ、骨髄再建活性が上昇した。これらの事実は、幹細胞におけるMeis1とMeis3の役割は異なることを示唆する。次に、始原生殖細胞とgonadの体細胞とのmRNA発現比較、そして精原細胞とES細胞との間のマイクロアレイ解析をおこなった。これらの試みから、生殖系幹細胞に高レベルに発現するDEAD box型RNAヘリカーゼDdx1を同定した。精原細胞由来細胞株においてDdx1発現をsiRNAによりノックダウンしたところ、lamininに対する細胞接着性が昂進し、cyclin D2 mRNA発現が抑制された。Ddx1を発現抑制したES細胞を用いて作製したキメラマウスでは、精巣内の階層的精子分化が撹乱されていた。また、精巣以外の組織ではドナー細胞が検出されなかった。以上の結果は、Ddx1が生殖系列と体細胞系列の幹細胞とで異なる役割を果たしていることを示唆する。本研究で同定した、幹細胞の系統特異的な作用を示す遺伝子群は、組織幹細胞の系統決定の理解に貢献するものと期待される。
|
Research Products
(3 results)