2004 Fiscal Year Annual Research Report
実験的自己免疫性脳脊髄炎の病態におけるガングリオシドの意義の検討
Project/Area Number |
15040207
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
等 誠司 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (70300895)
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Keywords | 脳脊髄炎 / 糖脂質 / 自己免疫 / ガングリオシド / ガラクトセレブロシド / ミエリン / オリゴデンドロサイト / 糖タンパク |
Research Abstract |
糖脂質に対する免疫反応に基づく神経障害について検討した。われわれはこれまでにマイコプラズマ肺炎後のGuillain-Barre症候群や脳脊髄炎で、脱髄因子として知られる抗galactocerebroside (Gal-C)抗体が特異的に上昇することを報告していた。肺炎マイコプラズマ菌体により同抗体が吸収されることから、マイコプラズマはGal-C様糖鎖をもちそれに対する免疫反応として抗Gal-C抗体が産生されることが示唆された。今回その仮説を検証するため、肺炎マイコプラズマ菌体から脂質成分を抽出し、それでウサギを感作した。その結果しらべた6羽のウサギ全ての血中に抗Gal-C抗体の上昇を認め、前記の仮説が証明された。そのうちの1羽では横断性脊髄炎をきたした。また抗Gal-C抗体の上昇したウサギ血清をラット坐骨神経に注入したところ、脱髄が認められた。以上より、マイコプラズマ肺炎においても、カンピロバクター腸炎で提唱されているのと同様に「分子相同性メカニズム」により抗糖脂質(Gal-C)抗体が産生され、脱髄を引き起こすと考えられた。一方、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の病態とガングリオシドの関わりを解明するために、複合型ガングリオシドを欠くGM2/GD2合成酵素遺伝子ノックアウトマウス(C57BL/6マウスをバックグラウンドとする)をmyelin-oligodendrocyte glycoprotein (MOG)で感作してEAEの作成を試み、野生型マウスと比較した。上記ノックアウトマウスのリンパ球のCD4やCD8の比率は野生型と有意の差はみられなかった。MOGの接種により、野生型にもノックアウトマウスにもEAEの発症をみたが、発症時期に若干の違いめある可能性があり、現在接種する動物の数を増やして検討している。今後臨床経過や病理像の詳細な検討および細胞性免疫の解析により、リンパ球機能や傷害された神経の修復に対するガングリオシドの意義が明らかになると考えられ、検討をすすめているところである。
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Research Products
(6 results)