2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖と細胞外マトリックス複合体によるシグナル分子のクラスタリング機能の解明
Project/Area Number |
15040220
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
平澤 恵理 順天堂大学, 医学部, 講師 (50245718)
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Keywords | パールカン / 神経筋接合部 / アセチルコリンエステレース / ミオトニア / Schwartz-Jampel症候群 |
Research Abstract |
この研究の目的は、細胞外基質糖鎖のラフト形成やそれにともなう細胞内シグナリングへの作用機序を解明することにある。特に、神経筋接合部形成をモデルとし、基底膜基質のパールカンの糖鎖と糖蛋白質のラミニン、アグリンの細胞膜表面での特異的な会合体形成への関与と特異性をマウスモデル、細胞培養系、プロテオミクスにより明らかにし、糖鎖の神経から筋細胞へのシグナル伝達の重要性を分子レベルで検討する。αジストログリカン(αDG)のO-結合型糖鎖は組織特異的な修飾を受け、多様な細胞外マトリックスとの結合性により細胞の運命を支配するシグナル回路を調整している。近年、αDGのO-マンノシルグリカンの異常がラミニンとの結合性を変化させ筋ジストロフィーや脳発達異常を引き起こすことが明らかになった。申請者はαDGと強い結合能を示す3つの糖蛋白質、ラミニン、パールカン、アグリンの細胞表面受容体分子クラスタリング能に注目した。この3分子は共通したG-ドメイン(LGモジュール)を持ち、また互いに結合する。細胞表面受容体、脂質マイクロドメインを凝集することは、細胞内シグナルをオンにする重要な初期段階である。神経由来のアグリンはアセチルコリン受容体(AChR)を始め、神経筋接合部の主要分子をクラスターして神経筋接合部形成のイニシアティブをとることが知られている。非常に興味深い事にこの神経由来アグリンはリンパ球においても同様のメカニズムにてT細胞受容体、ラフトを凝集し免疫システム接合部を形成することが解ってきた。ラミニン及びパールカンも同様の機能を持つことが推定されるがまだ充分検討されていない。神経筋接合部は非常に優れた分子クラスタリングモデルと考えられる。神経支配後成熟した構造をとるが、培養筋管細胞においてもラミニン、アグリンを加えることにより神経筋接合部構成分子の凝集が起こるので実験系として都合がよい。現在C2C12細胞の分化モデルにてアグリン、ラミニンによるシグナル分子会合の形態的差異を認めている。マイクロダイセクション法にて切り出し蛋白質レベルの検討を進めている。ラフト(細胞表面受容体、脂質マイクロドメイン)を凝集する活性化フラグメントから活性ペプチドの同定を目指す。申請者はパールカンの神経筋接合部形成における重要性をすでに明らかにしている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Arikawa-Hirasawa E, Le AH, Nishino I, et al.: "Structural and functional mutations of the perlecan gene cause schwartz-jampel syndrome, with myotonic myopathy and chondrodysplasia"American Journal of Human Genetics. 70. 1368-1375 (2002)
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[Publications] Arikawa-Hirasawa E, Rossi SG, Rotundo RL, Yamada Y.: "Absence of acetylcholinesterase at the neuromuscular junctions of perlecan-null mice"Nature Neuroscience. 5(2). 119-123 (2002)
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[Publications] Arikawa-Hirasawa E, Yamada Y: "Perlecan mutations in mice and humans : critical role of perlecanin skeletal development and disease"Acta myologica. XXSeptember. 134-137 (2002)
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[Publications] Arikawa-Hirasawa E, Wilcox WR, Yamada Y: "Dyssegmental Dysplasia, Silverman-Handmaker Type : Unexpected role of perlecan in cartilage development."American Journal of Medical Genetics. 106. 254-257 (2002)
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[Publications] Hassell J, Yamada Y, Arikawa-Hirasawa E.: "Role of perlecan in skeletal development and diseases."Glycoconj J.. 19(4/5). 263-267 (2002)
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[Publications] Yuasa K, Fukumoto S, Kamasaki Y, et al.: "Laminin alpha2 essential for odontoblast differentiation regulating dentin sialoprotein expression"J Biol Chem.. 279(11). (2004)