プロテオグリカン型チロシンホスファターゼPTPζの情報伝達制御機構

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15040226
• Research Institution: Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research
• Principal Investigator: 前田 信明 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (90202308)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 矢部 富雄 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70356260)
• Keywords: プロテオグリカン / チロシンホスファターゼ / PTPζ / 小脳 / プルキンエ細胞 / コンドロイチン硫酸 / 樹状突起 / 形態形成

Research Abstract

発達期の脳には、大量のコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CS-PG)が存在するが、そのコンドロイチン硫酸鎖(CS)の機能については不明の点が多い。今回、マウス脳の発達過程におけるCSの発現を免疫組織化学的に解析したところ、時空間的に極めてダイナミックなCS構造の変化が観察され、CS特異構造の機能的重要性が示唆された。そこで、脳特異的CS-PGであるホスファカンを、異なる発達段階にあるいくつかの脳部位より精製し、CS構造の異なるホスファカン標品を調製した。これらのホスファカン標品と、そのリガンドであるヘパリン結合性成長因子プレイオトロフィン(PTN)との結合をBIAcoreシステムを用いて解析したところ、親和性に大きな差異が存在することを見い出した。このような差は、コンドロイチナーゼABC処理により消失することから、CSの構造的差異に起因すると考えられる。特に、D単位[GlcA(2S)β1-3GalNAc(6S)]の含量がPTNに対する親和性と強く相関しており、CS鎖内の高硫酸化領域がホスファカンとPTNとの高親和性結合に寄与すことが示唆された。
さらに、ラット小脳スライス培養系を用いた実験により、このようなCS構造依存的なホスファカン(PTPζ)-PTNの情報伝達が、プルキンエ細胞の樹状突起形成に寄与することを明らかにした。これらの観察は、神経回路形成において、CS鎖の構造変化が重要な役割を果たしていることを示唆している。

Research Products

• [Publications] Maeda, N., He, Y., Yajima, Y., Mikami, T., Sugahara, K., Yabe, T.: "Heterogeneity of the chondroitin sulfate portion of phosphacan/6B4 proteoglycan regulates its binding affinity For pleiotrophin/HB-GAM."J.Biol.Chem.. 278. 35805-35811 (2003)
• [Publications] Tanaka, M., Maeda, N., et al.: "A chondroitin sulfate proteoglycan PTPζ/RPTPβ regulates the morphogenesis of Purkinje cell dendrites in the developing cerebellum."J.Neurosci.. 23. 2804-2814 (2003)
• [Publications] Sakaguchi, N., Muramatsu, H., Ichihara, K., Maeda, N., et al.: "Receptor-type protein tyrosine phosphatase ζ as a component of the signaling receptor complex for midkine-dependent survival of embryonic neurons."Neurosci.Res.. 45. 219-224 (2003)
• [Publications] Maeda, N.: "Signal transduction of proteoglycan-type protein tyrosine phosphatase, PTPζ."Connective Tissue. 35. 19-23 (2003)