2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世の東北アジアと考古学ー奴児干永寧寺をめぐる東北アジアの文化交流と諸民族の動向
Project/Area Number |
15068202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊池 俊彦 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70000619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和之 函館工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (80342434)
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Keywords | 東北アジア史 / アイヌ史 / 金石学 / 考古学 / デジタル技術 / CAD(Computer Aided Design) / 三次元デジタイザ |
Research Abstract |
日本列島の北方地域の歴史を考える時,アムール川(黒龍江)流域やサハリン(樺太)との接触・交流を無視することはできない。15世紀の初頭,明の永楽帝は女真人の宦官亦失哈(かんがんイシハ)を派遣し,ティルに奴児干都司(ヌルカンとし)を設置した。以後,明はアムール川流域・サハリンの諸集団に支配を及ぼした。 亦失哈は奴児干都司に併設して永寧寺(えいねいじ)という寺院を建立して,この顛末を記した石碑を建てた。1413年の「勅修奴児干永寧寺記」と1433年「重建永寧寺碑記」である。 今年度は,ウラジオストークの沿海地方国立アルセニエフ博物館に収蔵されている二つの碑を実地に調査した。重建永寧寺碑は摩耗が激しいと聞いていたが,原石を調査した結果,堅い花崗岩に文字が刻まれていることがわかった。ただし,岩が硬いためか文字の彫りは浅く,拓本を採るには適していないと思われた。そこで,3次元デジタイザを利用して石碑の三次元データをパソコンに取り込む作業を実施した。今後,さらにCAD(Computer Aided Design)システムを利用して,コンピュータの画面上で影をつけるなどの処理を施した上での判読を試みることを計画している。 また,ロシア科学アカデミー極東支部歴史・考古・民族学研究所付属の博物館・ハバーロフスク博物館・ニコラエフスク博物館では,永寧寺遺跡の発掘資料を含むアムール河下流域の中世遺跡出土の考古学資料を調査し,当該地域の遺物群の実態について全体像を把握した。 最後になるが,11月12日には,国際シンポジウム「ヌルカン永寧寺碑文と中世の東北アジア」を北海道大学で開催した。中国から楊暘(ヤンヤン)氏,ロシアからアルテーミエフ氏を招へいし,日本側からも5名の報告者をたてた。奴児干都司についての最新の研究成果を公開するとともに,文献史学と考古学の両面から検討を加えた。このような国際会議は初めてであり,日本では開催された意義は大きい。
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Research Products
(4 results)