2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世土器・陶器における生産技術及び編年に関する全国的研究と流通様相の年代的解明
Project/Area Number |
15068207
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
柴垣 勇夫 静岡大学, 生涯学習教育研究センター, 教授 (80303543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 良祐 愛知学院大学, 文学部, 教授 (10387566)
阿部 耕也 静岡大学, 生涯学習教育研究センター, 助教授 (30212541)
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Keywords | 中世考古学 / 中世土器・陶器 / 中世窯業 / 土器・陶器編年 / 生産と流通 / 技術交流 |
Research Abstract |
17年度は継続研究3年目にあたり、編年研究の集大成をはかるべく全国シンポジウムを特定領域研究「中世考古学の総合的研究」総括班と共に愛知県瀬戸市に於いて9月に開催した。このシンポジウムにおいては、全国各地で中世土器、陶器を研究している考古学研究者が集まり、最近の土器・陶器研究の進展による編年研究の成果が発表され、多くの聴衆の賛同を得た。その要点は北海道から沖縄、南西諸島に至る土器・陶器の編年が年代観の統一のもとに公表され、各地の遺跡出土品を基本的な基準資料によって編年的位置づけを可能にしたことにあった。また多くの歴史学研究者の参加も得て、これらの基準資料を時代認識の基礎に据えることで成果を共有することができた。 この成果は、『中世窯業の諸相〜生産技術の展開と編年〜』第1分冊、第2分冊としてシンポジウムに合わせて刊行され、全国の研究者から編年研究基本図書として認められつつある。中世土器、陶器研究において、当計画研究が各地域を横断的にとらえる手法を進める努力が認められ、このシンポジウム成果品が陶磁器研究の基礎文献としての位置を確保したといえよう。 この研究成果をもとに、17年度後半から歴史学との接点をより深めるための、土器、陶器の流通ないし他の器物との流通の違い、生産技術の交流を浮き彫りにして、中世社会の実像に迫る研究を進めた。 その成果として鍋・釜の製作材料の違いからくる流通の違いを検討し、それらが原料入手の容易さの違いではなく、使用する背景に違いがあることが語られ、それは中世社会の社会構造を反映しているとみなされるに至った。こうした事例の積み重ねによって、土器・陶器の生産地と流通の関係がより具体的に明らかにされると考えられ、更に日常に使用される食器類の地域による違いを解明する方向へ研究を進めることとした。こうした研究の続行が次年度に更に成果をもたらすものと期待されている。
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Research Products
(5 results)