2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15068217
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
杉山 洋 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥資料館, 学芸室長 (50150066)
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Keywords | 考古学 / 東南アジア / 貿易 / 日本町 |
Research Abstract |
本年度は研究の初年度にあたり、今後の研究推進のための準備期間との位置づけで研究の進行にあたった。海外における研究推進に当たっては、とりわけ研究推進前の、事前準備が大きな比重を占める。特にカンボディアにあっては現地文化財保護機関が、アンコール地域を対象とするAPSARAとそれ以外の地区を対象とする文化芸術省の2機関存在する。平成15年度はまずAPSARAとソサイ窯跡群の調査研究との内容で、覚書の調印を行った。あわせて文化芸術省とは日本人町の調査研究で覚え書きの検討作業を行った。これと平行して、ソサイ窯の調査に向けて、これまでの表面採集で収集された遺物の実測作業を行った。日本人町の研究では、アンコール・ワットに残された中世日本人による墨書の撮影を含む調査を行った APSARAとの共同研究は、アンコールの北東30kmに位置するソサイ窯跡群を対象とする。カンボディアにおけるクメール陶器研究は、これまで一部の外国人による研究はあったが、内線期の混乱等の影響により、窯後自体の調査が不可能だったなどの理由によって、研究が大きく遅れていた。1995年アンコール東北のタニ窯跡群が発見され、上智大学と当研究所との共同で発掘調査が行われた。この調査は現地におけるクメール陶器窯後初めての調査となり、大きな成果をもたらした。今回の科研による調査では、カンボディア中世期の手工業製品の生産と流通を解明することを目的に、ソサイ窯跡群の調査を計画した。タニ窯跡群の調査成果と比較検討することによって、クメール期手工業生産に新たな成果を得ることができると考える。 また日本人町の研究は日本中世と諸外国との関係を究明する上で、新たな視点を提出できるものと考える。
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Research Products
(1 results)