2004 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ・ヘテロダインセンシングの開拓による銀河系星間雲の形成と進化の研究
Project/Area Number |
15071201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80182624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 朋治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10291056)
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Keywords | テラヘルツ / サブミリ波 / 星間分子雲 / 銀河系 / 電波望遠鏡 / 中性炭素原子 / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究では、超伝導ホットエレクトロン・ボロメータ素子を用いた高感度かつ実用的なテラヘルツ帯の受信機を実現し、それを用いて星間プラズマに存在する窒素イオンのスペクトル線(1.46THz)の銀河面広域観測を行う。この観測を中性炭素原子、一酸化炭素分子の分布などと比較することのより、プラズマが分子雲の形成、進化に果たす役割を観測的に解明する。 本年度は高品質の超伝導薄膜や電極を成膜するための複合製膜装置を新しく導入した。この装置は、ホットエレクトロン・ボロメータ素子の製作に必要な、スパッタ装置、蒸着装置、および逆スパッタ装置を結合したものである。この装置の導入後、素子に用いる材料について成膜実験を繰り返し、最適の成膜条件パラメーターを決定した。その上で、実際に素子を製作したところ、200nmサイズの細線構造をもつ素子を製作できるようになった。これまでは1μmサイズが限界であったことを考えると、格段の微小化ができるようになり、感度の向上が可能となった。また、標準抵抗も50Ω程度となり、中間周波数におけるインピーダンス整合も容易になった。さらに、成膜時の膜剥がれもほとんどなくなり、素子製作が軌道に乗ってきた。現在、1.5THz帯の素子製作のために一層の微小化と歩留りの向上を図っている。 素子製作と平行してホットエレクトロン・ボロメータ素子を搭載する受信機ジュワ-の製作を進めた。観測に用いるためには機械式冷凍機による素子冷却を確立する必要があったが、ヘリウムポットによって温度安定化した冷凍機により、この課題を解決することができた。 また、富士山頂サブミリ波望遠鏡のデータを解析して、原子ガスから分子ガスへの相変化を調べた。その結果、分子ガスなってから十分時間のたった領域を複数発見できた。
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Research Products
(3 results)