2007 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ・ヘテロダインセンシングの開拓による銀河系星間雲の形成と進化の研究
Project/Area Number |
15071201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 智 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (80182624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 朋治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (10291056)
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Keywords | テラヘルツ / サブミリ波 / 超伝導材料 / 電波天文学 / 宇宙物理 / 銀河系 / 星間物質 / 星形成 |
Research Abstract |
テラヘルツ帯は宇宙観測において残された未開拓領域の一つである。そこには基本的原子・イオンの微細構造スペクトル線が多数あり、それらの詳細な観測によって星間雲の分布・構造・相変化を克明に明らかにすることができる。本研究の目的は、テラヘルツ帯で動作する超伝導ホットエレクトロン・ボロメータ(HEB)ミクサ素子を開発し、それをもとに銀河系星間雲の相変化を探求することにある。 本年度は、NbTiNを超伝導物質として用いる格子冷却型のHEBミクサの開発を重点的に進めた。ミクサ素子の入力インピーダンス整合を電磁界シミュレーションによって最適化することにより、それまで800GHzにおいて1200-1500K程度で留まっていた受信機雑音温度を500Kまで下げることに成功した。NbTiNを用いた導波管型HEBミクサとしては世界トップレベルの性能である。しかも、我々のミクサはNbTiN膜厚が12nmという比較的暑いものであることを考えると、膜厚を薄くすることにより、一層の性能向上が見込まれる。この成果の上に立って、1.5THz帯の素子の製作を行い、良好なDC特性を得た。また、このような性能向上に関する研究とともに、HEBミクサ素子性能の動作温度依存性を詳しく調べた。その結果、素子性能の温度依存性から、ミクサが格子冷却で動作しているか、拡散冷却で動作しているかについての情報が得られることを見出し、実際に我々のミクサが格子冷却であることを示した。 以上の結果により、わが国において世界レベルのテラヘルツ帯超伝導HEBミクサ素子製作が可能となり、テラヘルツ帯観測による銀河系星間雲相変化の研究への橋頭堡を築くことができた。また、この研究と併行して、富士山頂サブミリ波望遠鏡データ解析による星間分子雲形成過程の研究、内外のミリ波・サブミリ波望遠鏡を用いた分子雲進化と星形成の研究を展開した。
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Research Products
(4 results)