2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤方偏移した分子・原子輝線のサブミリ波観測による銀河形成と星形成史の解明
Project/Area Number |
15071202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 孝太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80321587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 利弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40202270)
祖父江 義明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10022667)
長谷川 哲夫 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (50134630)
関本 裕太郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (70262152)
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Keywords | サブミリ波 / テラヘルツ / 銀河形成 / 星間物質 / 超伝導受信機 |
Research Abstract |
本計画研究は、南米チリのアタカマ砂漠(標高4860m)に設置した、超高精度かつ大口径(10m)なサブミリ波望遠鏡(ASTE)に、サブミリ波〜準テラヘルツ帯の超低雑音受信機を開発・搭載し、これを用いて、遠方にある若い銀河からの、赤方偏移した原子・分子輝線の探査を行うことを目標としている。天の川銀河・近傍銀河のサブミリ波観測もあわせて行い、銀河進化と星形成史の解明を目指す。これを遂行するため、サブミリ波〜準テラヘルツ帯における低雑音超伝導受信機の開発と、それを用いた高感度広帯域分光観測システムを構築する計画である。 研究第2年度となる平成16年度は、ASTEに搭載する専用サブミリ波帯受信機(波長850ミクロン帯)および専用デュワーが完成し、本格的なサブミリ波帯分光観測を開始した。優れた主鏡面精度(19ミクロンrms)および指向精度(数秒角p-p以下)が達成されたことと相俟って、大気込みのシステム雑音温度が200K DSB以下という、極めて優れた感度での観測が実現できた。特に、近傍にある爆発的星形成銀河(スターバースト銀河)M83では、銀河のほぼ全域をカバーするCO(J=3-2)輝線での広域分光撮像観測にはじめて成功した。これは、米国などにある既存のサブミリ波天文台(HHTなど)での観測を凌駕するデータである。野辺山45m鏡によるCO(J=1-0)輝線観測データとあわせた詳しい解析の結果、銀河の中における星形成効率の空間変化が、「分子ガス中に含まれる高密度ガス成分の含有量の違い」により説明できることが明らかになった。 来年度以降に向けた開発として、準テラヘルツ帯(350ミクロン帯)受信機の製作が進展している。2偏波同時受信の光学系概念設計に基づき、物理光学シミュレーションによる詳細解析を進めた上、実機製作を開始した。そこに搭載する超伝導ミキサーとしては、ニオブおよび窒化ニオブチタンを用いた素子の開発に加え、窒化ニオブを用いたデバイスの共同研究(関西先端研究センター)にも着手し、より優れた性能の実現に向けた努力を続けている。
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Research Products
(6 results)