2006 Fiscal Year Annual Research Report
高感度ミリ波サブミリ波受信機を用いた高分解能観測による大質量星形成機構の解明
Project/Area Number |
15071205
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小川 英夫 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (20022717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 覚則 大阪府立大学, 理学系研究科, 講師 (90305665)
堀中 博道 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60137239)
真鍋 武嗣 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50358991)
安藤 浩哉 豊田工業高等専門学校, 助教授 (30212674)
西浦 慎悟 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (50372454)
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Keywords | 大質量星 / 星形成 / 電波天文学 / ASTE / 超伝導 / ミクサ / 偏波計 / ミリ波サブミリ波 |
Research Abstract |
ミリ波、サブミリ波帯における高性能観測のため、可動部分が全くない導波管型サイドバンドセパレーティング(SBS)ミクサの開発を行った。SBSミクサは、導波管型90度ハイブリッド、ディバイダー、超伝導ミクサとIFハイブリッドより構成される。この方式はUSB、LSBを同時に受信でき、しかも低雑音広帯域(比帯域〜30%)特性を持っているため、電波観測にとって好都合である。 現在までにミリ波(<300GHz)での実用化が進み、電波望遠鏡へ搭載を行った。その結果230GHz帯で2SBミクサによる^<12>CO、^<13>CO(J=2-1)同時観測に成功した。現在サブミリ波(>300GHz)での2SBミクサの高性能化を追求している。 さらにミクサの中間周波数帯の広帯域化を行った。超伝導ミクサの中間周波数帯域は、ミクサ後に接続するアイソレーターによって制限をうけている。アイソレーターの広帯域化は損失等を考えると困難な状況にある。そこで我々はアイソレーターを使用することなく整合をとる手法の開発に着手した。具体的には超伝導ミクサ後の整合回路を基板上に作製すると同時に、中間周波増幅器であるHEMT(high electron mobility transistor)の入力回路も検討対象とした。これらの整合条件をもとに、4〜12GHz帯での開発を行った。この結果、低消費電力(〜10mW)で、利得30dB以上、雑音温度8.8〜17.7Kを得ることができた。これらの値はディスクリートHEMT素子を用いた4〜12GHz帯の増幅器としては、現在到達されている最高の性能とほぼ同じである。 上記開発と並行して、大質量星形成の場である巨大分子雲中の高密度コアに対する観測を継続した。本年度は、りゅうこつ座領域の巨大分子雲に対して、ASTE望遠鏡を用いた345GHz帯のHCO+(J=4-3)輝線などの観測を行なった。またオーストラリアのMOPRA望遠鏡を用いて、HCO+(J=1-0)輝線などの観測を行なった。これらの観測により、非常に大きな質量降着率で大質量星が形成されている領域を検出する等の成果が得られた。
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