2005 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト構造に由来する新奇量子現象の解明
Project/Area Number |
15072203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 和夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (70114395)
辛 埴 東京大学, 物性研究所, 教授 (00162785)
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40213524)
松田 祐司 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50199816)
武田 直也 新潟大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80242171)
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Keywords | 超伝導転移 / 圧力効果 / 磁場誘起転移 / 核磁気共鳴 / 緩和時間 / オフセンター振動 / 光電子分光 / 量子臨界現象 |
Research Abstract |
PrOs_4Sb_<12>の高圧下の磁化測定を行い、基底1重項と励起3重項とのギャップが圧力とともに減少することを見いだした。超伝導転移温度は圧力増加とともに低温側へシフトするので、この結果は超伝導発現機構が励起3重項による四重極揺らぎのモデルでは説明が困難であることがわかった。 PrOs_4Sb_<12>の高圧下の電気抵抗測定を行った。超伝導転移温度は4GPa以上では圧力依存性が小さくなり、約1.4K(P=9.8GPa)に近づく。磁場誘起秩序相は5.4Gpa〜7Gpaの間で消失した。新たな圧力誘起相を示唆する現象として8GPa、T=3.5Kで抵抗の減少を観測した。この異常は、H=0.1Tというわずかな磁場で消失する。 [111]方向の磁場下で現れるPrFe_4P_<12>の低温高磁場相において、長距離秩序の有無を確かめるためにP原子核のNMR測定を行った。NMRスペクトルには超構造を示唆する変化は見られなかったが、低温高磁場相ではスピン格子緩和率が急減し、緩和過程に多成分の緩和率が現れた。何らかの長周期構造によって緩和率の異なるサイトが生じているものと考えられる。 A05班後藤グループとPr(Os_<1-x>Ru_x)_4Sb_<12>のオフセンター振動に関する研究を行った。x=0と0.5では超音波分散が観測され、x=1では観測されないことから、PrOs_4Sb_<12>の超伝導にオフセンター振動が関与している結果を得た。 CeOs_4Sb_<12>のレーザー光電子分光及び、Ce 3d-4f共鳴光電子分光によりこの物質のフェルミ準位近傍の電子状態を調べた。その結果、混成効果による疑ギャップの形成を観測し、更に低温においてフェルミ準位上にf電子由来の状態が僅かに残ることを明らかにした。 CeRIn5(R=Co,Rh,Ir)の電気抵抗、ホール係数、磁気抵抗、ネルンスト効果の測定から、非フェルミ流体の領域での輸送係数の温度と磁場依存性が高温超伝導体で観測されていたものとほとんど同じであることを明らかにした。これにより量子臨界点に近い非フェルミ流体の輸送現象の普遍的振る舞いが明らかになった。
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Research Products
(14 results)