2004 Fiscal Year Annual Research Report
強い混成効効を示す充填スクッテルダイト化合物の純良単結晶育成と物性評価
Project/Area Number |
15072206
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 英行 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80106608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神木 正史 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (30004451)
青木 勇二 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (20231772)
桑原 慶太郎 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90315747)
菅原 仁 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (60264587)
岩佐 和晃 東北大学, 理学研究科, 助教授 (00275009)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 重い電子系 / 多重極秩序 / ラトリング / 新奇超伝導 / 磁場誘起秩序 / 強相関電子系 / c-f混成効果 |
Research Abstract |
本研究班の責務として、充填スクッテルダイト純良単結晶のフラックス法による育成と領域内・外研究グループへの供給は、国内で35以上、国外で7つの、NMR、磁化、超音波、熱伝導度など多岐にわたる測定手法をもつグループに対して行い、共同研究が進められている。また、通常フラックス法では育成が困難な構成要素について、高圧合成炉をH16年2月に導入し、試料育成を進めている。 以下に、本研究班が主体となって進めた実験結果の主要な例について報告する。 1.現時点でこの物質系で最も重要な問題の一つが、PrOs_4Sb_<12>の超伝導の機構の解明である。特にクーパー対の引力の起源が、超伝導相に隣接する反強四重極秩序相(AFQ)の存在からから期待される、四重極揺らぎによるのか否かが注目される。そのため、中性子散乱実験により、低エネルギー磁気励起の観測を行い、励起が波数ベクトル=[100]{AFQ相の変調ベクトルと同じ}の近傍でソフト化すること、そのエネルギーと幅の超伝導転移温度近傍の振る舞いから、四重極揺らぎと超伝導状態の強い相関を明らかにした。 2.一方、PrRu_4P_<12>の示す金属-非金属転移の機構を理解するためにも、またPr-系スクッテルダイト全体の理解のためにも、c-f混成効果の寄与、結晶場スキームの知見が必要なため、中性子非弾性散乱測定の温度依存測定を行った。その結果、(1)転移温度以下では格子歪みに伴う二つの非等価なPrサイトに対応する明白な結晶場励起が見えること、(2)そのエネルギーが大きく温度依存すること、(3)転移温度異常で線幅が急増すること、など極めて特異で重大な情報が得られた。 3.他に、特にSm系スクッテルダイトの良質単結晶を育成し、SmFe_4P_<12>:で初めてde Haas-van Alphen効果の測定に成功し重い電子の直接確認を行なうなど、成果が出ている。
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Research Products
(6 results)