2004 Fiscal Year Annual Research Report
多様な積層構造をもつフタロシアニンπ-d系導電体の構築
Project/Area Number |
15073101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲辺 保 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20168412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 隆 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)
石田 尚行 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00232306)
内藤 俊雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20227713)
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Keywords | 分子性固体 / 有機導体 / 磁性導電体 / 結晶設計 / π-d相互作用 |
Research Abstract |
ハイブリッド系導電体の開発としてπ-d相互作用に注目し、軸配位子を持つ金属フタロシアニン(Pc)を構成単位とした導電性結晶への磁性イオンの導入により得られる一次元導電体で、磁気モーメントにより伝導電子の運動が変調され、巨大な負の磁気抵抗を示すことを見出している。16年度では、この系の特徴を踏まえ、多様な次元性をもち、さらに電子相関と遍歴性が拮抗した新たな系の構築を目指した。シアノ基を軸配位子としたPc化合物を酸化する際、カチオン部としてPXXを用いることで、等方的な二次元シート状に部分酸化されたPc unitが配列した塩が得られることがM=Coで分かった。この結晶は常圧下では半導体的であるが、圧力を加えることで5Kまで金属的な挙動を維持する。この塩の中心金属をCo^<III>→Fe^<III>と置換することでd電子由来の磁気モーメントを導入できることから、Fe系についての結晶作成を試み、Co系とは異なる成長条件で同形結晶が得られるようになった。Fe塩についての物性測定にも着手し、導電性がCo塩と同程度であることが分かってきている。 また、新しいπ-d系の開拓のために、新規ドナー分子としてテトラオキサフルバレン誘導体の酸素原子の幾つかをイオウやセレンにした分子の合成方法を確立し、その性能を評価した。一方、磁性アニオンに単分子磁石を用いた電導性磁石の開発を目指し、3d-4fヘテロ金属錯体の中から、スピンが大きく磁気異方性の大きな錯体や錯イオンを合成した。 新規ハイブリッド物質として「光照射を利用した電荷移動錯体の局所的電気特性の制御」という観点でも研究を進めた。Ag(DMe-DCNQI)_2に対し、光照射前後の電気抵抗、磁化率、ラマン・IR、等を比較し、光照射によって物性が連続的に変わっていき、その原因はAgイオンとDCNQIとの間の電子移動であることがわかった。
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Research Products
(19 results)