2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様な積層構造をもつフタロシアニンπ-d系導電体の構築
Project/Area Number |
15073101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲辺 保 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (20168412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 隆 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)
石田 尚行 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00232306)
内藤 俊雄 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (20227713)
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Keywords | 分子性固体 / 有機導体 / 磁性導電体 / 結晶設計 / π-d相互作用 |
Research Abstract |
ハイブリッド系導電体の開発としてπ・d相互作用に注目し、軸配位子を持つ金属フタロシアニン(Pc)を構成単位とした導電性結晶への磁性イオンの導入により伝導電子の運動が変調され、巨大な負の磁気抵抗を示すことを見出している。18年度では、負の磁気抵抗の起源について検討した。一次元系であるTPP[Fe(Pc)(CN)_2]_2の負の磁気抵抗は18Tまで測定されていたが、20Kで37Tまで測定し、2桁以上の抵抗低下が起こることを見出した。さらにCoによるスピン希釈系についての磁気抵抗測定から、磁気抵抗がランダムな局所磁場によるものではないことが判明した。角度依存の測定によって磁気抵抗は分子スピンの配向を正確に反映することが示され、Fe(Pc)(CN)_2unitが磁性導電材料として極めてユニークで、材料設計に有用であることが認められた。また、軸配位子の交換はπ-d相互作用の大きさを変調することが認められたが、これは配位子場の変化によってd軌道準位が変化したためと考えられ、この点についてab initio計算により予備的に確認した。 また、新しいπ-d(O系の開拓等にっいては、(1)希土類錯イオンをカウンターアニオンとするイオンラジカル塩の電導性、単分子磁石性能を評価、(2)天然有機分子の電子ドナー性の評価と、その電荷移動錯体、遷移金属体における電導性や磁性の評価、(3)ピリミジン置換TTFおよびアクリジン置換TTFを合成、これらを用いた電導体と磁性体の開発、(4)単分子磁石[Dy2Cu]、[Dy4Cu]および[Dy2Cu2]の合成開発、磁性電導性物質のビルディングブロックとしての可能性を見出す、等がある。 新規ハイブリッド物質として「光照射を利用した電荷移動錯体の局所的電気特性の制御」の研究も進め、ドーピングに関して種々の測定により、主に光照射初期段階にどのような光化学的挙動をとるかが明らかになった。
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Research Products
(21 results)