2003 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場と人工構造による低次元有機導体の電子物性制御
Project/Area Number |
15073206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00192526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 英二 東京大学, 物性研究所, 助手 (00323634)
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Keywords | 有機導体 / 低次元電子系 / 超強磁場 / 電界効果 / 微細構造 / スピン密度波 / 磁気抵抗角度効果 / ヘテロ接合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、強磁場・強電場・微細構造という3種の極限環境を用いて有機導体の低次元電子系が示す新たな極限機能を開拓することである。 強磁場については従来行われて来た実験を遥かに凌ぐ500T級の超強磁場領域まで実験範囲を広げ、新しい極限電子相の探索を行うことを目的としている。そのため今年度は電磁濃縮法および一巻きコイル法による単発破壊型パルス超強磁場下で電気伝導測定を行うための技術開発を行った。これらの磁場発生法に伴う巨大な誘導電圧や放電雑音の影響を局限するため、数10〜350MHzの高周波バイアスを用いて周波数・位相検波を行う高周波反射係数法による伝導測定技術の開発を行った。 強電場の効果については、低温で異常相にあるα-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4単結晶の積層方向に強電場を印加し、層間磁気抵抗の磁場方位依存性をパルス電場法で測定したところ、擬1次元的な板状Fermi面構造を反映したLebed共鳴が、電場効果で2重に分裂する現象を発見した。この現象を「有効磁場」の概念を用いて半古典理論により説明した。またこの現象が擬1次元導体のFermi速度決定に利用できることを指摘し、この物質のFermi速度を見積もった。 微細な空間構造については、有機導体ヘテロ接合構造の形成するために、TMTSF系擬1次元有機導体の「電解再成長(Electro-chemical Overgrowth)」法技術の開発を行った。(TMTSF)_2PF_6/(TMTSF)_2ClO_4接合の作製を試み、局所的な電気伝導測定から、マクロにはバルク単結晶の接合が形成されていることを確認した。
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