2004 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場と人工構造による低次元有機導体の電子物性制御
Project/Area Number |
15073206
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00192526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 英二 東京大学, 物性研究所, 助手 (00323634)
|
Keywords | 有機導体 / 低次元電子系 / 超強磁場 / 電界効果 / 微細構造 / スピン密度波 / 磁気抵抗角度効果 / ヘテロ接合 |
Research Abstract |
本年度は、有機導体α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4の低温強磁場中での多彩な電子相転移を、磁場中電荷密度波という観点から、理論的・実験的に調べた。 α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4の低温相「異常相」の正体は長い間未解明であったが、近年PougetらのX線散乱の実験により電荷密度波(CDW)相の可能性が強く示唆された。一方、この異常相は傾斜磁場下で複雑な逐次相転移を示すことが27Tまでの磁場領域で見出された。そこでCDW状態と考えられる異常相の磁気相図を、広い磁場範囲と磁場方位で決定することを目的として、40Tまでのパルス強磁場下で磁気抵抗の実験を行った。その結果、27Tから40Tまでの磁場領域でも逐次転移が続くこと、相図は磁場の2次元面の法線から磁場を傾けた角度(天頂角)には依存するが、磁場を傾ける面内方位(方位角)には依存しないことを確認した。これは逐次転移の起源が2次元軌道効果によることを示唆する。 次にZeeman効果と軌道効果を取り入れた平均場モデルで密度応答関数を評価し磁場中CDW不安定性を理論的に調べた結果、相図の定性的振る舞いを説明することに成功した。零磁場のCDW相(CDW_0)はZeeman分裂により磁場中で不安定化し、単一スピンのCDW相(CDW_x)に転移するが、Fermi面が完全にネスティングしない場合、半金属相であるCDW_y状態がCDW_0とCDW_xの間に現れ軌道効果により逐次転移を示す。 40T以上の強磁場極限でCDW_x相が現れることを実証するために、100T以上の超強磁場下で高周波磁気抵抗測定を計画している。そのために測定の最大の障害となる渦電流による試料の自己発熱を抑えるため、酸素プラズマによる微細加工技術の開発を行った。
|
Research Products
(5 results)