2007 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場と人工構造による低次元有機導体の電子物性制御
Project/Area Number |
15073206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 The University of Tokyo, 物性研究所, 准教授 (00192526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 英二 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00323634)
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Keywords | 有機導体 / 低次元電子系 / 負性磁気抵抗 / 磁気抵抗角度効果 / 多層ディラック電子系 / ゼロギャップ伝導体 / 磁気貫通 / 電荷密度波 |
Research Abstract |
(1)多層ディラック電子系における負性層間磁気抵抗現象の解明 圧力下の有機導体α-(BEDT-TTF)_2I_3が負性層間磁気抵抗を示すなど異常な伝導物性を示すことは、本特定領域の田嶋・梶田らによって報告されていたが、近年この物質が擬2次元ディラック電子系を持つゼロギャップ伝導体であることが本特定領域の小林・鈴村らによって理論的に示された。そこで磁気抵抗角度効果で実績のある量子トンネル描像を用いて多層ディラック電子系の磁場中層間伝導を理論的に調べたところ、負性磁気抵抗がディラック電子系特有のゼロモード(n=0)ランダウ準位間のトンネル伝導として自然に説明できることが明らかになった。これはこの物質においてディラック電子系が実現していることを支持する結果である。 (2)磁気貫通系における層間磁気抵抗の角度依存振動現象の解明 有機導体α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4は低温で電荷密度波(CDW)相に転移するが、このCDW相が異常な磁気抵抗角度効果を示すことが知られている。この現象の起源を解明するために、2軸試料回転システムを製作し層間磁気抵抗の全磁場方位依存性パターンを温度を変えて測定した。その結果、低温側からCDW転移温度に近づくにつれ、連続的にCDW相の異常な擬1次元的角度効果が消失し、共存しながら正常相の擬2次元的角度効果が現れてくることが観測された。これは温度に依存するCDWギャップを磁気貫通する擬2次元電子系の磁気抵抗角度効果として理解できる。また十分低温では従来知られていた角度効果に加え、方向の異なる複数の弱い角度効果が重畳していることが見出された。これは格子によるウムクラップ効果として解釈できる。
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Research Products
(4 results)