2006 Fiscal Year Annual Research Report
特異な分子特性/集合構造の混成による新しい電子系の開拓
Project/Area Number |
15073214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (10170771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 弘幸 京都大学, 化学研究所, 助手 (00283664)
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Keywords | 分子特性 / 集合構造 / 電子系 / 分子極性 / 両性極性分子 / 熱相転移 / 両性イオン分子 / 自発分極 |
Research Abstract |
本研究は、特異な分子特性と集合構造の混成による新しい電子系の開拓を念頭に置き、1)新奇な分子場が期待できる特徴的な分子の探索・調製、2)特徴的分子の集合化制御による分子場の形成・評価、3)特徴的分子の固有集合状態の光誘起等による外場効果の探査、4)新奇分子場や外場効果に基づく電子系の特性挙動の把握解明を目指して進めている。分子性導体の分野では、伝導性などの観点から概ね当然のごとく従来の対象分子は基本的に無極性であった。しかし、有機半導体のより多様な特性を期すれば顕著な極性分子も注目に値する。このような考えで当初から分子極性に着目して一番、二番の問題を中心に進めてきた二つの系につき、18年度は第三、第四の問題にも踏み込んだ研究を展開し、研究課題の全体に対しても有意義と思える結果を得た。 一つは、電子供与性のジチオレンと受容性のジシアノメチレンを、電子の非局在性を抑えた共役系のキノイド骨格で架橋した両性極性分子のBMDCMである。青色板状の溶液成長晶と緑色針状の気相成長晶は、分子の向きが交互に積層したカラムの同士の配向が異なることが分かった。溶液成長晶が外観を留めつつ気相成長晶に熱相転移することも見いだし、さらにメカニズムと物性変化について研究を進めている。 一方、ピリジニウム1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-インデン-2-イリド(PI)とそのインダンジオン部位の4,5位の炭素原子を窒素置換した4N-PI,5N-PIの各両性イオン分子は、PIと5N-PIが反転対称な結晶構造、4N-PIは非中心対称性の分極構造をとることを確かめた。4N-PIは真空蒸着のみで分極構造を示す薄膜を与え、そのためと思われる自発分極を確認した。この自発分極による暗所での薄膜の表面電位は、吸収光の照射により消失することも見いだした。今後、膜構造や表面電位の挙動の精査により現象解明に努める。
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Research Products
(5 results)