2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の電荷配列の極低温及び強磁場下X線による観測
Project/Area Number |
15073217
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野上 由夫 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10202251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 孝吉 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10114414)
神戸 高志 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (00277386)
池田 直 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00222894)
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Keywords | 分子性導体 / 有機導体 / 有機超伝導体 / 低次元物質 / X線 / 構造解析 / 強磁場 |
Research Abstract |
世界で初めてとなる,超高感度10T磁場下回折装置と磁揚中散漫散乱カメラを用いて,磁場下で量子ホール効果示す低次元物質η-Mo4011のX線散漫散乱写真を撮影した。6Kの極低温下では,二種類の電荷密度波転移の内,比較的振幅の大きなCDW1形成に伴う衛星反射だけではなく,特に微弱なCDW2形成に伴う衛星反射を観測する事に成功した。同一の写真に10ヶ以上の反射の撮影に成功しており,これは低温用X線カメラとしても世界最高性能であることを示している。更に8T以上の強磁場でCDW2の衛星反射位置が一次元方向b*成分に大きく変化することを観測した。この磁場領域では磁気輸送や磁場下光学特性にも異常があらわれることと考えあわせると,磁揚による電子状態の変化が引き起こされていると考えられる。この装置は低次元分子性導体のような,さま様々な波数,つまり予測不能な波数の変調構造が現れ,それが電子状態に大きな影響を及ぼす系構造科学研究にとって不可欠である。更に,Eu0.6Sr0.4Mn03の絶縁体一金属転移に関連し,同じく世界初となる高感度磁場中回転カメラ用いて磁場中冷却の金属相では,磁場なし冷却の絶縁相とくらべ,格子が明瞭に変化しでいることを観測した。つまり,磁場により格子の歪みが少ない金属相が安定となることを示した。これはこの系の物性が基本的に二重交換相互作用に支配されていることを示している。
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Research Products
(4 results)