2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15073223
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
薬師 久弥 分子科学研究所, 分子集団研究系, 教授 (20011695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 薫 分子科学研究所, 分子集団研究系, 助手 (90321603)
中村 敏和 分子科学研究所, 分子集団研究系, 助教授 (50245370)
古川 貢 分子科学研究所, 分子集団研究系, 助手 (90342633)
秋田 素子 分子科学研究所, 分子集団研究系, 助手 (30370125)
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Keywords | 分子導体 / 電荷秩序 / 赤外・ラマン / 振動分光 / 磁気共鳴 / 金属・絶縁体転移 / BEDT-TTF |
Research Abstract |
1.目的 この特定研究では主にウィグナー型の分子導体の電子状態を研究し、その相転移機構と相転移前後における電子状態(局在性と遍歴性)を明らかにすることを目標としている。平成16年度は主にθ-型、β"-型BEDT-TTF塩の相転移の振動分光法による研究と(TMTTF)_2X系のNMRとESRによる研究を行った。 2.振動分光法による研究 θ-(ET)_2X系の物質についてはX=RbZn(SCN)_4よりもバンド幅の狭い物質の相転移はすべて電荷秩序相への相転移であった。電荷の整列様式は斜方晶系の物質では水平方向に整列し、単斜晶系の物質では対角方向に整列していることを明らかにした。そして、バンド幅の狭い物質では高温相ですでに電荷分離が発生しており、局在した電荷が緩やかに揺らいでいるという描像が得られた。X=RbZn(SCN)_4とX=I_3の中間に位置するX=CsZn(SCN)_4は低温領域で弱く絶縁化するが、ラマンおよび赤外活性な振動モードからはRbZn(SCN)_4で観測されるような大きな不均化は観測されなかった。β"-(ET)_3X_2系についてはX=ReO_4、HSO_4、ClO_4、Cl(H_2O)について系統的な研究を行った。いずれも金属・絶縁体転移のところで電荷秩序相へと電子状態が変化することを明らかにした。また、Cl(H_2O)以外の物質では相転移に伴って対称心が失われていた。また、X=ReO_4とHSO_4では相転移が不連続的に発生するが、X=ClO_4とCl(H_2O)では室温から連続的に変化する。このほか、β"-(ET)(TCNQ)において動的な電荷整列状態と考えられる現象を見出した。また、ET分子の赤外活性モードν_<27>の振動数と電荷の関係を調べるために、(ET)(AuBr_2Cl_2)と(ET)(ClO_4)の同位体化合物の偏光赤外、偏光ラマンスペクトルを測定し、ET^+におけるν_<27>モードの従来の帰属を変更した。また、平面ET^0と舟形ET^0のν_<27>モードの振動数が25cm^<-1>異なることを明らかにした。これらの結果を用いて電荷と振動数の間の直線関係を検証した。 3.磁気共鳴法による研究 (TMTTF)_2Xの電荷秩序転移ならびに関連する現象の起源を理解するために、NMR、多周波ESR、(実験室系および放射光)X線実験、量子化学計算を行った。^<13>C NMR測定からType II塩(AsF_6,SbF_6,PF_6)と同様にType IのReO_4、Type IIIのSCN塩でも電荷秩序転移を示すことを確認した。
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Research Products
(37 results)
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[Journal Article] Crystal design of organic conductors using the iodine bond2003
Author(s)
T.Imakubo, N.Tajima, T.Shirahata, A.Miyake, H.Sawa, T.Nakamura, H.Ohnuki, M.Tamura, R.Kato, M.Izumi, Y.Nishio, K Kajita
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Journal Title
Synth.Met. 135-136
Pages: 601-602
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