2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスのナノ組織化過程の小・中角散乱法による解明
Project/Area Number |
15074210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 浩司 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (50214060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 庄治郎 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (30111925)
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Keywords | Zr基金属ガラス / 異常小角散乱 / 小中角散乱法 / 放射光 / 前駆的クラスター / ナノ結晶化 |
Research Abstract |
本年度は異常小角散乱と高角回折を組み合わせた異常小角・中角散乱法の定量化を目指した。また、実験室レベルでの予備データ取得環境を整備した。実験室での小角散乱カメラの改造を施し、放射光実験前の試料・条件のスクリーニングを容易にするための光学系のMo特性X線対応化をおこなうとともに、粉末回折において通常使われていない2θが8度-20度の回折データを取得し、放射光の同時測定データの高角側とつながる角度領域をカバーできるように測定領域を拡張した。 これまでの走査異常小角散乱測定によって明らかになってきていた溶接再溶融部分と熱影響部(HAZ)の境界部分での結晶化と小角散乱の関係については、中角領域に現れる明瞭なBraggピークがより高角部分で判定される結晶化の有無と一致することが明らかとなった。このとき、このBraggピークと対応して出現する小角散乱成分を従来結晶子からの小角散乱と推定していたが、小角散乱の該当する成分の波長依存性から推定される組成変動の状態図上での変動方向が晶出すべき平衡あるいは準安定相の方向とずれていることが明らかとなった。さらに、Scherrer解析により、結晶格子のコヒーレンス長が組成変動の特性長よりも一桁以上大きいことが示され、小角散乱で確認された揺らぎは結晶化に伴う組成変動を検出していることは確認されたものの、その内容についての再検討が必要となった。この点は、従来からわれわれが注目している低角領域のべき乗則強度が結晶化極初期に指数を保持したまま急激に増加するという結果との対応で注目すべき結果であり、現在これらを矛盾なく説明できるモデルを検討している。 また、結晶化以前のZrCuNiAL4元合金でわれわれが始めて見出したナノクラスターの存在については原子数密度揺らぎ単独のものではないことを異常分散コントラスト変化の解析により明らかとした。
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Research Products
(2 results)