2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスの変形機構を考慮したマルチスケールモデリングの研究
Project/Area Number |
15074214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁谷 陽二 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70206150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾方 成信 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20273584)
松中 大介 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (60403151)
竹内 章 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40250815)
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Keywords | 金属ガラス / 分子動力学シミュレーション / 内部構造解析 / 変形の局所化 / せん断帯 / ボロノイ多面体 / 自由体積 |
Research Abstract |
周期性を持たない金属ガラス(アモルファス金属)の変形に関する基礎メカニズムは,一般の金属のように転位に起因するすべり変形挙動とは大きく異なる.まずは,金属ガラスの基本構造に対して,引張り・圧縮やせん断といった基本変形特性を大規模分子動力学シミュレーションにより原子論的な観点から調べた.そして,金属ガラスの有限変形とそれを律する局所的な熱力学的秩序パラメータを抽出し,局所構造の発生,拡散,消滅を繰り返しながらマクロ場の不均質変形へと進行するマルチスケールモデリングに基づく評価手法の確立を目的とした. 1.金属ガラスに引張り変形やせん断変形を加え,変形応答に応じた内部構造の変化をボロノイ多面体解析により調査し,系全体の自由体積や局所構造を形成する2次元的幾何形状との関係についてまとめた結果,変形とともに20面体短距離秩序構造が減少し,系全体の自由体積が増加することがわかった. 2.金属ガラスの塑性変形の基礎メカニズムは,せん断帯の発生とその発展に帰着されることを計算科学的に明らかにした.3次元の解析では,熱上昇の大きな変形のせん断帯の生成があり,2次元の解析では多数のせん断帯の発生の生成および合体の垂動を明らかにした. 3.ナノ結晶相を持つ金属ガラスの計算機モデルを提案し,その存在が変形の局所化に与える影響について検討した結果,微小でも分散配置が塑性変形能に大きく寄与することがわかった. 4.ガラス形成能を予測する理論的な考察に対して,原子論的な観点から原子ひずみを算出し,体積ひずみの依存性とともにせん断変形を示すゆがみ量の寄与について考察した.
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