Research Abstract |
本研究では,一般熱力学的負荷条件下の金属ガラスの超塑性,変形・破壊の実験的検討とその評価,比例・非比例ひずみ履歴を伴う高ひずみ速度負荷試験による実験的検討と構成式の定式化,電子顕微鏡(SEM)・原子間力顕微鏡(AFM)・ナノインデンテーション法による金属ガラスの破壊機構の観察と局所領域の応力および強度の評価を行う.平成17年度における研究実績として,平滑材における疲労き裂発生機構のAFMによる解明,疲労き裂伝ぱ機構に関するフラクトグラフィーによる検討,形状係数と切欠き係数の相違のメカニズムに関する検討などを行い,それぞれ,○疲労き裂発生は結晶金属とはかなり異なっている,○中ΔK域においてはファセット状の疲労破面が現れ,高ΔK域においては,静的破壊同様のベイン状の疲労破面が現れる,○鋭い切欠き材の場合,低炭素鋼と同様に疲労限度において停留き裂が存在する,等を明らかにした.また,平成16年度の静的引張における破損曲面を引き続き実験により求めるとともに,板材による純剪断方向の実験,ならびに,超塑性における降伏曲面の評価にも着手している.ナノインデンテーションについては,疲労破面上の局所力学状態評価を検討したが,破面の表面粗さ等の問題があり,精度の高い評価を行うための手法を模索している.一方で,疲労破面の側面への押し込みではき裂成長領域の硬度が処女材のそれに比べて高くなっている可能性が示された.分子動力学シミュレーションによる金属ガラスの微視的変形メカニズムの検討では,アモルファス構造中の短距離クラスターの安定性が原子弾性剛性係数の正値性で正確に把握できること,クラスターの崩壊・再構成などの変形過程が局所不安定性で追跡できることなどを明らかにした.また,多結晶体とアモルファス金属の本質的な違いが,弾性剛性係数の行列式の値で定量的に評価できる可能性があるとの観点から,結晶粒を微細にしたシミュレーションとの違いを比較した.
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