Research Abstract |
Zr-Cu-Al-Ni系金属ガラス合金は優れた機械的性質等を有することから,これら合金を平衡液体状態からの急冷することによる各種の精密金型成形部材の作製や,過冷却液体状態におけるナノ成形加工が試みられている。このため,平衡液体粘性および過冷却液体粘性の温度依存性を測定することが必要とされる。本研究では,Zr-Cu-Al-Ni系金属ガラス合金を用いて,過冷却液体状態における粘度の温度依存性を検討するとともに,静電浮遊型振動法を用いて平衡液体粘性を測定し,同金属ガラス合金の全温度範囲における粘度と温度との関係を求めた。Zr_<55>Cu_<35>Al_<10>Ni_5金属ガラスの過冷却液体領域における粘度の温度依存性を,圧子貫入法により測定したところ,加熱速度が20K/minから400K/minに上昇すると酸化の影響が減少し,粘度は大きく低下した。加熱速度が200K/minの条件で再現性の良い,ほぼ一定の値を得た。 Zr_<55>Cu_<35>Al_<10>Ni_5金属ガラスの平衡液体領域における粘度の温度依存性を,静電浮遊振動法により測定した。融点直上から,温度の上昇とともに粘度の大幅な低下が観察され,1600℃付近では,2×10^<-3>Pa・Sにまで低下し,粘度が低く流動性の高い液体となっていることが明らかである。Zr_<55>^Cu_<35>Al_10Ni_5^金属ガラスの過冷却液体の粘度と平衡液体の粘度を,Vogel Fulcher-Tammaim(VFT)の関係を用いて接続し,全温度範囲における粘度と温度との関係を示した。その結果,本合金の粘度の温度依存性は,比較的Strongな液体と言える。また,Zr-Cu-Al系合金において合金組成がZr-richの亜共晶側にずれると,破壊靭性値が改善され,過冷却液体の粘度の低下が認められ,過冷却液体粘度と機械的特性との相関性があることが示唆された。
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