2003 Fiscal Year Annual Research Report
MDおよび統計熱力学手法による金属ガラスのナノ構造解析
Project/Area Number |
15074220
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小野寺 秀博 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算材料科学研究センター, センター長 (20354144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 太一 独立行政法人 物質・材料研究機構, 計算材料科学研究センター, 主任研究員 (50354155)
下野 昌人 独立行政法人 物質・材料研究機構, 計算材料科学研究センター, 主任研究員 (30354153)
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Keywords | 副格子モデル / 短範囲規則度(SRO) / Compound energy formalism / MDシミュレーション / 金属ガラス / ガラス形成能 / 中範囲規則度(MRO) / 構造緩和 |
Research Abstract |
統計熱力学計算における自由エネルギーの評価方法の一つであるCompound energy formalismでは、従来の枠組みでは2つの副格子しか記述できず、BCC格子など限られた構造でしか解析できなかったが、等価な4つの副格子で記述できる規則・不規則相に対して短範囲規則度(SRO)の取り扱いに関する定式化をおこない、FCC格子などより一般的な構造についての解析が可能になった。その結果、SROはReciprocal parameterによって記述され、実験値を再現できることが明らかとなった。 分子動力学(MD)法で液相急冷による金属ガラスの生成過程をシミュレーションする場合、計算機の能力による制限から、実験の10^<10>倍におよぶ非常に速い冷却速度しか再現できないため、臨界冷却速度など従来のガラス形成能の尺度を評価することができなかった。そこで、生成ガラス相のエンタルピー、過冷却液相の充填度および拡散能、ガラス転移温度の冷却依存性など、MDシミュレーションで計算可能な尺度から総合的にガラス形成能を予測する手法を確立し、実験と整合的な結果を得た。また、原子位置の局所解析により、ガラス相および過冷却液相における構造緩和の過程では、自由体積の減少は常に正20面体型クラスターの増加を伴うこと、また正20面体型クラスターの分布は一様ではなく、数ナノメートルの中範囲規則構造を有していることを明らかにした。また、今回導入した小規模なクラスター計算機システムを用い、次年度以降導入予定のより大規模なクラスターシステムでの使用にたえるMDシミュレーション用並列計算コードを開発した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Taichi Abe, Bo Sundman: "A Description of the Effect of Short Range Ordering in the Compound Energy Formalism"Calphad. Vol.28 Issue 1(in press). (2004)
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[Publications] Masato Shimono, Hidehiro Onodera: "Criteria for Glass-Forming Ability Accessible by Molecular Dynamics Simulations"Materials Transactions. (In press). (2004)