Research Abstract |
本特定領域では,今年度から新たに公募研究を加えて総数26グループでのプロジェクトとなった。そのため,総括班では研究代表者会議を開催し,新しい研究領域として目指すべき方向の確認と,それぞれのテーマの位置づけや全体の中での整合性について討論した.また,相互の連携を促進することによって,それぞれの研究がより大きく展開できるよう情報交換を行った.特に,各分担テーマで扱っているマイクロプラズマが,どのような特性であるかを具体的な内部パラメータ(プラズマ密度や電子温度など)で示し,その特性をどのように改善することで目標達成ができるかという議論に注力した.これは,プラズマの媒質が従来の気体から超臨界流体,液体,固体へと展開し,応用分野も電子材料からバイオマテリアルのプロセス・分析へと広がっているため,共通の視点で議論していくのに必要であった.内部パラメータの測定には特殊な装置が必要な場合もあるが,上記のような相互連携促進のおかげで,プラズマ生成班が診断班のトムソン散乱を利用したり,シミュレーションによって特性を理解することができるなどの成果が得られた. また,マイクロプラズマが切り拓く新しいプラズマ科学技術のなかで,基礎および応用の両面から特に注目を集めている"液中マイクロプラズマ"に焦点を絞り,公開シンポジウムを開催した.気体と液体との中間的な状態である超臨界流体雰囲気をも含め,液体中におけるマイクロプラズマの安定的な発生法をいかに開発すべきか,また,そのプラズマはどのような物性をもち,われわれにいかなるエキゾテイックなミクロ反応場を提供し,どのように利用可能なのかなど,この魅力的なマイクロプラズマに対して,多角的な立場から活発な討論がなされた.特に,超臨界流体の特異な放電開始電圧特性が超臨界状態に特有のクラスター間の間隙生成によることが明らかにされ,メカニズムの理解が大きく進歩した.
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