2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロトンポンプの方向性を決定する内部結合水の構造解析
Project/Area Number |
15076202
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70202033)
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Keywords | プロトンポンプ / 内部結合水 / 赤外分光法 / スイッチ / バクテリオロドプシン / 塩素イオンポンプ / レチナール / 光受容蛋白質 |
Research Abstract |
蛋白質は一般に疎水部を水から避ける形で折り畳まれるが、疎水的な内部に水分子が存在する場合もある。これら内部結合水の中には単に空間を充填するだけでなく、機能に重要な役割を演ずる水分子の存在が考えられている。本研究では、濃度勾配に逆らってイオンを輸送する分子ポンプ蛋白質の機能発現過程における内部結合水の役割を明らかにするため、光駆動プロトンポンプであるバクテリオロドプシンなどを対象として、低温赤外分光を用いた研究を行っている。今年度は、以下に示す研究成果を原著論文として発表した。加えて、内部結合水に関する研究成果をまとめた4報のinvited review(英文3報、日本語1報)を出版している。 1.バクテリオロドプシンのシッフ塩基領域に存在し、内部結合水と水素結合を形成すると考えられているArg82の伸縮振動を帰属することに成功した。その結果、光異性化により水分子を含む水素結合ネットワークに摂動が生じてArg82の水素結合変化が起こること、その摂動がL中間体で緩和する一方、Arg82が動くM中間体では振動数は同じであるものの双極子モーメントが変化することを偏光赤外分光により明らかにした。また共同研究として、異性化前後での水分子の基準振動解析を量子化学計算により行い、実験とのよい一致を示す結果を得た。 2.ハロロドプシンは、プロトンではなく塩素イオンを輸送する光駆動ポンプ蛋白質である。ハロロドプシンの内部結合水を低温赤外分光によって解析した結果、バクテリオロドプシンのような水素結合の強い水分子が存在しないことを見出した。ハロロドプシン中の塩素イオンは、プロトンポンプとは異なる機構で水和されていることが明らかになった。 3.バクテリオロドプシンと同じファミリーに属しながら、プロトンをポンプしないアカパンカビロドプシンには水素結合の強い水分子が存在しないことがわかった。我々が見出した水素結合の強い水分子の存在は、プロトンポンプ機能と密接な相関をもつことが示唆された。
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Research Products
(13 results)