2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロトンポンプの方向性を決定する内部結合水の構造解析
Project/Area Number |
15076202
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70202033)
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Keywords | プロトンポンプ / 内部結合水 / 赤外分光法 / スイッチ / バクテリオロドプシン / 塩素イオンポンプ / レチナール / 光受容蛋白質 |
Research Abstract |
蛋白質は一般に疎水部を水から避ける形で折り畳まれるが、疎水的な内部に水分子が存在する場合もある。これら内部結合水の中には単に空間を充填するだけでなく、機能に重要な役割を演ずる水分子の存在が考えられている。本研究では、濃度勾配に逆らってイオンを輸送する分子ポンプ蛋白質の機能発現過程における内部結合水の役割を明らかにするため、光駆動プロトンポンプであるバクテリオロドプシンなどを対象として、低温赤外分光を用いた研究を行っている。本年度は以下の成果を得た。 1.系統的な変異蛋白質を用いた赤外分光解析により、バクテリオロドプシン中で水素結合ネットワークを形成する水分子の振動を帰属することができた。我々が見出した水素結合の強い水分子は、予想通りレチナールシッフ塩基部位に存在することが明らかになった。 2.バクテリオロドプシンの変異体および種々のロドプシン(ppR,HR,ASR,NR,LR)に対する赤外分光実験から、ロドプシンがプロトンポンプ機能をもつためには、水素結合の強い水分子の存在が必要であるという経験則が得られた。光駆動プロトンポンプという機能は、1個の水分子の水素結合によって決定されるのかもしれない。 3.ハロロドプシンは、プロトンではなくクロライドイオンを輸送する光駆動ポンプ蛋白質である。ハロロドプシンの低温赤外分光による研究の結果、クロライドの輸送を引き起こす段階でレチナールシップ塩基はクロライドではなく、水分子と相互作用することがわかった。これをもとに、全く新しいクロライド輸送機構のモデルを提唱することができた。 4.オキシデースは酸素を水に還元する際に放出されるエネルギーを利用してプロトンをポンプする膜蛋白質である。オキシデースの構造変化を光還元剤を用いた赤外分光法により研究し、チロシンに由来する振動バンドを帰属した。
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Research Products
(16 results)