2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子およびその集合体の構造形成と揺らぎに対する溶媒効果の分子論
Project/Area Number |
15076205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 伸幸 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (20281107)
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Keywords | 溶媒和自由エネルギー / 分布関数 / エネルギー表示 / 計算機シミュレーション / 溶質-溶媒相互作用 / 分子集合体 / 構造揺らぎ / 水 |
Research Abstract |
本年度は、リン脂質二重膜への物質結合を系統的に検討し、タンパク質の安定性に及ぼす水の効果を自由エネルギーに即して定量的に扱い、以下の成果を得た。 1.リン脂質二分子膜系へ分子結合を解析するために、1,2-dimyristoy1-3n-glycero-3-phosphatidylcholine(DMPC)をもちいて、CO、CO_2、ベンゼン、エチルベンゼンの結合自由エネルギーを解析した。膜内の各位置に溶質を挿入する自由エネルギー変化(溶媒和自由エネルギー)に焦点を置き、その位置依存性を検討した。溶媒和自由エネルギーは、膜内部で熱エネルギー(k_BT)程度の揺らぎで変化することが見出し、強い局在化の傾向が無いことを明らかにした。溶媒和自由エネルギーをDMPCからの寄与と水からの寄与に分割し、膜の界面領域にあるとき、水は溶質を安定化する方向に働くことを見出した。 2.タンパク質の全原子自由エネルギー計算を行った。αラクトグロブリンのアンフォールディング経路上の特徴的構造の水和自由エネルギーを、エネルギー表示法によって計算した。水和自由エネルギーは-1千数百kcal/molのオーダーであり、100ps程度のシミュレーションによって、10kcal/mol(相対的に1%)以下の95%エラーに収めることができる。溶質-溶媒相互作用の和は、一数千kcal/molに及び、大きな排除体積効果との微妙なバランスが重要であることを見出した。 3.溶質サイズが大きくなった場合の溶媒和自由エネルギーの極限値を、さまざまな溶液理論について、解析的に決定した。極限値が純溶媒の圧縮率で表されるために、溶媒和自由エネルギーを溶質体積で割ったものは、真の値(1atm)を過大評価することを見出し、圧縮率支配の挙動を圧力支配の挙動に転換することが、理論改善の方途であることを明らかにした。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Cholesterol Location and Orientation in Aqueous Suspension of Large Unilamellar Vesicles of Phospholipid Revealed by Intermolecular Nuclear Overhauser Effect2008
Author(s)
Giordani, C., Wakai, C., Yoshida, K., Okamura, E., Matubayasi, N. & Nakahara, M
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Journal Title
J. Phys. Chem. B 111(印刷中)
Peer Reviewed
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[Journal Article] A New High Temperature Multinuclear Magnetic Resonance Probe for Structure, Dynamics,and Reaction in Supercritical Water.2007
Author(s)
Yoshida, K., Matubayasi, N., Nakahara, M., Ikeda, T. & Anai, T.
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Journal Title
JEOL News 42
Pages: 16-20