2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子およびその集合体の構造形成と揺らぎに対する溶媒効果の分子論
Project/Area Number |
15076205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 伸幸 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (20281107)
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Keywords | 溶媒和自由エネルギー / 分布関数 / エネルギー表示 / 計算枇シミュレーション / 溶質-溶媒相互作用 / 分子集合体 / 構造揺らぎ / 水 |
Research Abstract |
本研究の目的は、溶媒効果の自由エネルギーの定量的解析である。リン脂質二重膜への物質結合を系統的に検討し、タンパク質の安定性に及ぼす水の効果を自由エネルギーに即して定量的に扱った。 1.2000原子程度からなるαラクトアルブミンの水和自由エネルギーを計算した。計算値は1500kcal/mol程度におよぶ大きなものであった。蛋白質配座を固定した場合、100ps程度の短時間MDによって、計算誤差は1%程度となることも分かった。さらに、アンフォールディング経路に沿った、溶媒効果の自由エネルギー安定化が見出され、分子内効果との競合を定量的に明らかにした。 2.1,2-dimyristoy1-sn-glycero-3-phosphatidylcholine (DMPC)膜への小分子結合の自由エネルギー解析を行った。疎水性分子の場合、膜中で大きな自由エネルギー安定化が起きるが、膜内部では強い局在化の傾向が無いことを示した。SDSミセルの場合には疎水性コアへの局在化を見出しており、DMPC頭部がいくつかのメチルやメチレン基を結合し親水性が「中途半端」であることによって、疎水性コアでの局在度がDMPCの場合に弱くなることを明らかにした。溶媒和自由エネルギーをDMPCからの寄与と水からの寄与に分割し、膜の界面領域にあるとき、水は溶質を安定化する方向に働くことを見出した。 3.溶質サイズ増加に伴う溶媒和自由エネルギーの極限値を、解析的に決定した。多くの近似理論では、極限値が純溶媒の圧縮率で表されるために、溶媒和自由エネルギーを溶質体積で割ったものは、真の値(1 atm)を過大評価することを見出した。理論改善の方途が、圧縮率支配の挙動を圧力支配の挙動に転換することにあることを明らかにした。
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Research Products
(35 results)
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[Journal Article] Cholesterol Location and Orientation in Aqueous Suspension of Large Unilamellar Vesicles of Phospholipid Revealed by Intermolecular Nuclear Overhauser Effect2008
Author(s)
Giordani, C., Wakai, C., Yoshida, K., Okamura, E., Matubayasi, N. & Nakahara, M
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Journal Title
J. Phys. Chem. B 111(印刷中)
Peer Reviewed
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[Journal Article] A New High Temperature Multinuclear Magnetic Resonance Probe for Structure, Dynamics, and Reaction in Supercritical Water.2007
Author(s)
Yoshida, K., Matubayasi, N., Nakahara, M., Ikeda, T. & Anai, T.
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Journal Title
JEOL News 42
Pages: 16-20
Peer Reviewed
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